締切迫る!早期のデジタル化実現をサポートする中小企業デジタル化応援隊事業とは

会議中のスーツを着た男性

メディアなどによる報道を見ていると、コロナ禍により企業のデジタル化がより一層進んだかのように語られていますが、その多くは大企業の話で、中小企業ではなかなか進んでいないという印象です。

そんな中小企業をサポートすべく、経済産業省の外局である中小企業庁が「中小企業デジタル化応援隊事業」を2020年9月1日から開始しました。デジタル化やIT活用のノウハウを有したIT専門家を広く募集し、デジタル化を促進させたい中小企業とマッチング、支援者であるIT専門家への謝金の一部を、中小企業庁が負担するというものです。

「デジタル化はしたいけど、どこから手を付ければよいのか……」と悩む中小企業にとって大きなチャンスと言えるこの事業について、概要や利用方法とともに注意点についてまとめます。

中小企業のデジタル化の現状と今後の予測

2020年秋、菅新政権が発足し、デジタル庁を創設する発表をして注目を集めました。政府だけでなく企業にとっても、業務プロセスの効率化や迅速な業務・情報の把握、ビジネスモデルの変革をするためのデジタル化は喫緊の課題と言えます。

一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会による「企業IT動向調査2020」によると、売上高1,000億円以上の企業を中心にデジタル化は進展しており、商品・サービスとプロセスのデジタル化は、検討中も含めて全体の70%弱にのぼります。このことから、大企業では積極的にデジタル化へ投資していることが伺えます。また、期待以上の成果があったと回答した企業のうち、IT部門や事業部門のデジタル化予算枠をしっかり設けた企業が約70%あり、デジタル化を成功させるためには、専用予算枠として管理している企業の方が高い成果を収めていることもわかります。

逆に売上高100億円未満の中小企業では、導入済みはわずか8%弱と非常に低く、検討をしていない企業は60%を超える結果となっています。こうした背景には、IT部門への予算をあまり割けずにいるため、デジタル化を推進するための人材も確保できず、何処から手を付けるべきかの判断もできないという悪循環に陥っていると考えられます。

奇しくも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によってデジタル化が進みましたが、中小企業全体がデジタル化へ邁進できているわけではありません。デジタル化へ舵を切れないというのは、予算だけの問題ではなく、ITリテラシーの高い企業と低い企業での差も大きく、ノウハウ不足や従業員のスキル不足、コスト負担など、デジタル化への障壁も高いものになっています。デジタル化を成功させるためには、こうした課題を乗り越えるサポートが必要なわけです。

一方で「Cisco 2020 アジア太平洋地域の 中小企業 デジタル成熟度調査」では、新型コロナウイルス感染症の影響を受け69%がビジネスのデジタル化をさらに促進させていると高い水準が示されています。そして、中小企業の50%が成熟度をもう一段アップさせることで、2024年までにアジア太平洋地域のGDPが約52.2兆円増える可能性があると予測されており、収益と生産性も平均50%増加するとしています。

例えば、デジタル化を推進した事例として、RPAテクノロジーズ株式会社の取り組みでは、これまでOfficeソフトで作成した書類を利用して顧客とのやり取りしていたものを、すべてオンラインベースで完結するシステムを導入。これによりペーパーレス化が進み、顧客や社内担当とやり取りを1/5程度まで削減できたとしています。こうした効果は、収益や生産性の向上につながり働き方の変革をもたらすことでしょう。

中小企業デジタル化応援隊事業の制度とは

ミーティングをしている二人の日本人女性と一人の男性

そうした中、経営層の取り組みの積極性や予算不足、デジタル人材がいないといった、中小企業が抱える課題を解決するために、IT専門家をマッチングする制度として生まれたのが「中小企業デジタル化応援隊事業」です。

応援隊となるIT専門家は、中小企業庁がフリーランスや兼業・副業などを含めた人材を広く募集。応募のあった企業の案件から、要件を満たすIT専門家を紹介することで、「どこから手を付ければ良いかわからない」「ECサイト構築で専門家のアドバイスがほしい」などといったデジタル化・IT活用の悩みをハンズオン支援する取り組みです。

中小企業だと、なかなかスキルや専門知識のあるIT専門家とつながる機会が少なく、こうした制度により紹介されれば、安心して相談できるでしょう。もちろん、紹介されたIT専門家と自分たちが抱える課題に対して話し合った上で契約するため、要件を満たさなければ他の人材を紹介してもらえます。

また、クラウド(SaaS活用)やデジタルマーケティング、テレワーク、RPA導入推進など各種「支援提供パッケージ」が用意されており、必要に応じて利用が可能です。このパッケージは、支援領域ごとに必要な支援ステップや、それに必要な打ち合わせ回数などの目安で構成されており、資料やIT専門家とのディスカッション用ワークシートなどが提供されます。必要なステップだけ選択したり、プランを組み合わせるといったカスタマイズも可能なため、ゼロから始める企業にとっては、IT専門家との話を進めやすくなります。

さらに契約が成立すれば、IT専門家に対して支払われる謝金のうち、時給最大3,500円(税込み)が事務局から支払われるため、デジタル化を推進するための負担を軽減できるメリットもあります(企業側の実質負担は時給最低500円~、税込み)。

申し込みの締め切りは2021年1月31日まで。支援事業実施期間は2021年2月28日までとなりますので、それまでに支援活動完了が必要です。早めに事業ヘの登録・相談する必要があるでしょう。

事業制度を利用するうえでの注意点とデジタル化の心得

タブレットをみているアジア人男性一人と女性一人

この制度を利用するには、まず中小企業庁が定める中小企業の条件を満たしている必要があります。対象企業の範囲については手引書を参照してください。デジタル化支援領域としては、事業継続性の確保や事業基盤の強化、事業開発、さらにデジタル化課題の分析や把握・検討、公的支援に関する相談についても対象となります。ただし、コンテンツ制作やデザイン制作などの請負契約についてはこの支援に含まれないので注意が必要です。例えば、EC構築に関しては対象になりますが、それに伴うサイトのデザインなどは含まれません。

そうした条件を踏まえたうえで、Webサイトから企業登録します。なお、IT専門家とのマッチング方式は、下記の通り3つの方式があります。

  1. セルフマッチング:IT専門家と中小企業間ですでに面識があり、2者間で協議した上で本事業にエントリーして支援するパターン。謝金の負担を軽減するための利用になります。
  2. 事務局マッチング:本事業にエントリー後、中小企業とIT専門家の特徴をもとに事務局が双方を紹介。2者間で協議・合意の上支援を実施するパターンです。IT専門家のあてがない中小企業に最適です。相談内容が具体的であるほど、マッチングが成功する可能性が高くなります。
  3. パートナーマッチング:IT専門家とネットワークがあるパートナーが2者をマッチングし、その後2者間で協議・合意の上、支援を実施するパターン。事務局以外にIT専門家を紹介してくれる企業や団体があれば、こちらの方式になります。

注意点として、マッチングに関わる問題に対しては、事務局は動きますが、支援内容や活動に関してはIT専門家との協議によって進めていくことになり、事務局は支援内容を確認するのみになります。

また、1つの支援(1契約)に対して、支援できるIT専門家は1人のみとなります。そのため、複数のIT専門家による支援を受けたい場合は、支援を分ける必要があります。支援を受ける際は、支援計画書を作成し、IT専門家との業務委託契約を締結。支援が開始されたら実施報告書を作成することになるので、IT専門家だけでなく事務局とのやり取りも生じます。専任の担当者を立てて取り組んだ方がスムーズに進むでしょう。

なお、中小企業庁が支援するIT専門家への謝金の上限は1中小企業あたり累計30万円(税込み)までで、1人のIT専門家あたり本事業における累計謝金は150万円(税込み)までとなります。つまり、同じIT専門家に依頼が集中して5社以上契約していた場合、謝金累計を超えてしまった分は企業側が負担することになるのでご注意ください。

まとめ

デジタル化を早期に進めることは重要ですが、単にツールや技術を導入すればいいというわけではありません。本事業でマッチングされたIT専門家と自社の抱える課題に対して解決策を見出していくことになりますが、本当に必要なこと、自分たちでも運用できることなどをしっかり協議・認識したうえで進めていくことが重要になります。

デジタル化推進のための専用予算枠を設けて投資しても、それを企業が活かしきれなければ、単なる無駄になってしまいます。デジタル技術の活用によって、顧客に対して高い価値を提供したり、作業効率を改善させて限られた人材でも柔軟に対応できる体制づくりを目指すといった結果が見えなければなりません。

今回の事業によって予算の負担を軽減しつつIT専門家とのつながりを作り、デジタル化を進めるシステムの選択やそれに伴う課題の洗い出しなどを行い、その後に政府や自治体の支援金などを活用して実際に導入・運用していき、課題の解決を遂行していくことが、成果を最大限に引き出すことにつながるはずです。新たな生活様式・働き方や今後の労働人口減少等、将来を見越した柔軟な経営を目指して、デジタル化を推進させていきましょう。

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筆者
Tomohiro Adachi
Content Marketing Manager
公開