こんなにあるSaaSサービス!その種類や機能を一挙紹介

オンライン診療を受ける赤ちゃんを抱いた母親

2020年度には国内市場が1兆円に達したSaaSは、現在、さまざまな分野で広がりを見せています。前編『「SaaS」とは?その意味やメリット・デメリットをわかりやすく解説』では、SaaSとはそもそも何なのか、その意味や種類、メリット・デメリットについて解説しましたが、後編では「SaaSにはどのような種類があるのか」をテーマに、多彩なSaaSの種類や機能を紹介していきます。

医療から不動産、水産業まで、各業界で活用されるVertical(バーティカル)SaaS

Vertical(バーティカル)SaaSとは、各業界の課題を垂直(Vertical)に掘り下げ、それぞれに特化した機能や目的を持つSaaSのことです。近年、さまざまな業界で開発しリリースされており、その種類も増加傾向にあります。代表的なバーティカルSaaSとして、以下のようなものが挙げられます。

医療系SaaS

医療系SaaSには、医療機関の予約管理や電子カルテ管理など、医療機関の業務内で用いられるもののほか、薬歴管理、医薬品在庫管理、医薬品の受発注管理など、薬局業務に用いられるもの、歯科向け、医療研究機関向けなど、多くの種類が存在します。

なかでも近年、注目されているのが「オンライン診療SaaS」です。2020年、厚生労働省がオンライン診療の適用範囲を時限的に拡大したことを受けて(※2)、オンライン診療SaaSが次々とリリースされるようになりました。新たな形の医療を支える技術として、成長が期待されているサービスです。

看護・介護系SaaS

看護・介護系SaaSには、業務支援や人材採用、教育・育成など、医療機関や介護施設の業務内で用いられるもののほか、自宅での看護や介護を支援する在宅医療専用SaaSなどがあります。急速な高齢化が進む日本において、看護・介護現場の生産性向上は喫緊の課題。そうした現場の業務を効率化する技術として、看護・介護系SaaSに期待が集まっています。

不動産系SaaS

不動産業界は、売買・賃貸・管理の3つの分野に大まかに分類できますが、いずれの分野においてもSaaSの活用は進んでいます。そのなかでも、サービスの細分化はさらに進んでおり、例えば、「不動産売買の仲介業者向けCRM」や「不動産賃貸業者向けの建物管理システム」など、特定の業種に特化したものも数多くリリースされています。そのほか、住宅診断士や工務店などの不動産関連ビジネス向けにもSaaSは開発・提供されています。

外食系SaaS

外食系SaaSは数多く、飲食店の予約や顧客管理、従業員間のコミュニケーションなど、多彩な種類のサービスが提供されています。外食系SaaSで多いのがPOSレジです。POSレジとは、販売金額を自動的に集計・記録する機能を備えたレジのことです。外食産業のほか、小売業界などでは一般的なレジですが、レジ装置の導入に多額の費用がかかるため、近年では低価格で導入できるSaaS型のサービスが広く利用されるようになりました。

そのほか、教育、EC、人材、製造など様々な業界特化型のSaaSがリリースされています。また、最近では、農業や水産業といった一次産業の分野でもSaaSが展開されており、具体的には「農業従事者の経営分析を支援するサービス」や「魚の集まる漁場の選定を支援するサービス」などがあります。

社内業務のあらゆる場面で活躍するHorizontal(ホリゾンタル)SaaS

Horizontal(ホリゾンタル)SaaSとは、業界を問わず様々な企業が水平的(Horizontal)に利用できる、経理や人事、会計などを支援するSaaSのことです。代表的なホリゾンタルSaaSには、以下のようなものがあります。

グループウェア

Eメールや電子掲示板、スケジュール管理、会議室予約、ワークフローシステムなどの機能を有し、企業内の情報共有を促進させるサービスです。かつては、パッケージソフトで提供されていましたが、近年ではSaaS型のクラウドサービスが主流となりつつあります。

ビジネスチャット/社内SNS

ビジネスチャットは、ビジネス向けのチャットツールです。社内コミュニケーションの活性化や文書の共有などに用いられます。近年のテレワークの普及により、導入企業は増加傾向にあります。

Web会議ツール

ビデオ通話により会議を行えるツールです。ビジネスチャット同様、テレワークをはじめとした新しい働き方が広がるとともに、活用が一般化しています。最近では、会議だけでなく、Webを通じて店舗サービスを提供する「オンライン接客」にも活用されています。

MAツール

MAはマーケティングオートメーションの略称で、企業のマーケティング活動の業務効率化、生産性向上を図るツールです。具体的には、見込み顧客の管理やマーケティングシナリオの作成、メルマガの自動配信や顧客ごとの受注確度のスコアリングなどを行うことができます。

HR系SaaS

採用管理、労務管理、勤怠管理、人事評価など、人事(HR=Human Resource)に関する業務を支援するサービスです。これらはHRテックとも呼ばれ、2020年度には市場規模が426億円に達するなど、急速に市場を拡大しています (※3)。

電子契約/電子署名サービス

オンライン上で契約書などの文書を送信し、署名・捺印、管理することができます。紙やハンコを使った手続きと比べ、契約締結までの期間を短縮し、業務効率化やコスト削減などのメリットがあります。2021年に成立したデジタル改革関連法の付帯決議のなかでは、押印手続きに変わり電子署名サービスの活用促進が示唆されるなど、今後ますます、利用シーンが増えると予想されます。電子署名の仕組みについては『電子署名とは?仕組みから適法性までわかりやすく解説!』をご覧ください。

そのほか、請求書発行や経費計算、給与計算などの経理系SaaSや、開発や情報セキュリティ、IT資産管理などの情報システム系SaaSなど、業務の幅広い領域でSaaSの活用が可能です。

SaaSだけでなく、クラウド技術のトレンドも要チェック

2000年代以降、急速に普及が進んだSaaSですが、今やその数は膨大なものになります。さらに、類似した機能を持つサービスも多いため、選定の際にはそれぞれの機能を吟味して、自社に適したサービスを見極めることが重要です。

最近では、アプリケーションを実行するためのプラットフォームをクラウド経由で提供するPaaS(Platform as a Service)や、ハードウェアなどのインフラをクラウド経由で提供するIaaS(Infrastructure as a Service)なども普及しつつあり、クラウドサービスの進化は止まるところ知りません。自社に適切かつ効果的なサービスを活用するためにも、クラウド技術の進化やトレンドにも注目してみてはいかがでしょうか。

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