【調査レポート】合意・契約管理システムの現状 2020年版

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今日、組織・団体において契約プロセスは以前にも増して重要になってきています。デジタル化され、効率的であると同時に、利便性・アクセシビリティ・セキュリティを完備した契約プロセスが求められています。 

弊社ドキュサインの委託によりフォレスター・コンサルティング社(以下、フォレスター社)が行った調査では、日本を含む世界中の、約1,000社のビジネスリーダーに契約管理について質問しました。重要なポイントは、 社内プロセスを改善し、シームレスで優れたデジタル体験を顧客、従業員、サプライヤーに提供できる組織がビジネスで成功を収めるということです。

調査のハイライト

  • 10社中9社では手作業の契約プロセスが負担となり、質の悪い顧客体験やプロジェクト立ち上げの遅れ、収益把握の遅れの原因となっています
  • 世界的に電子署名の利用は標準になりつつあり、ある特定の部門では(署名が必要な)契約書の68%で電子署名を使用しています
  • 組織全体で従来とは異なる電子署名の活用方法を模索し、署名以外の契約プロセスと連携させることに重点を置く必要があります
  • 顧客体験の向上が、より高度なテクノロジーやツールに投資する最大の理由として挙げられています

追加調査

  • 契約ライフサイクル管理の段階と課題
  • 契約の自動化戦略における主要な推奨事項

本ブログ記事は、ドキュサインがフォレスター社に委託した調査『契約管理システムの現状(2020年)』を基に執筆された米国ドキュサイン本社のブログ記事「How Agreements Are Managed Today」の抄訳となり、一部加筆修正しています。調査レポートでは、合意・契約管理に関する世界のトレンド、そしてビジネスリーダーたちが業務改善に投資しようとしている理由を学ぶことができます。

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「顧客体験」はイノベーションを促す最重要要素

昨年の調査『契約管理システムの現状(2019年)』で特筆すべき調査結果の1つは、テクノロジーツールを変更する最大の理由として「顧客体験」が挙げられていることです。2020年も同様の結果となり、回答者の79%が顧客体験を特に重要な優先事項または必須の優先事項と特定しました。

調査の回答者は電子契約プロセスの最も一般的なメリットとして「顧客体験の改善」と述べています。実際に2020年の回答者の55%は、電子契約プロセスを利用したことで顧客体験が向上したと報告しています。インタビュー調査対象者の1人は、電子署名が導入されるまで、文書への署名に要した肉体的労力にまで言及し、次のように述べています。「署名をもらった書類が5〜8cmほどにも積み上げられ、皆が署名済みの書類を抱えて移動し、FedExの翌日便で送付しなくてはなりませんでした。」

また、回答者の多くは一部分しかデジタル化されていない合意・契約管理システムを利用しており、顧客体験を改善するための余地が十分にあることが分かりました。組織は顧客体験に重点を置くか、従業員体験に重点を置くかを選択する必要はありません。なぜなら、この2つは相互作用しているからです。電子契約プロセスの接続性が高まることで、顧客がセルフサービスでできることが増えます。例え顧客自身で解決できなかったとしても、最新の合意・契約管理システムを使うことで従業員は顧客に向き合う時間を取りやすくなり、迅速な対応が可能になります。満足度の高い従業員は、高い顧客満足度を達成し、逆に顧客満足度が高いと、従業員の満足度も高まります。

90%の組織が手作業での契約プロセスに負担を感じている

所属している組織が未だに契約管理のワークフローを一元化できていないとしても、心配はありません。そのような課題を抱えている組織は多くあります。フォレスター社の調査対象となった組織のうち圧倒的大多数は、契約書の内容を手動で入力しており、既存の文書をコピーしたり、新しい契約書を一から作成していると報告しています。しかし、このようなプロセスはどれも非効率で時間がかかり、エラーも発生しやすくなります。

こうした時代遅れの方法で契約書を作成していると、収益に直接的ないし間接的に影響が出てきます。フォレスター社の調査の回答者からは、非効率な契約で最もよく発生する問題として、質の悪い顧客体験(回答者の46%)、プロジェクト立ち上げの遅れ(43%)、収益の認識の遅れ(42%)が報告されました。回答者の間では、こうした非効率な合意をいつまでも続けていると、コストが増え、仕事の質が低下するという認識が広がっています。

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多くの組織が合意・契約プロセスにおける手作業の比重が大きすぎると実感していることから、2つの重要なポイントを導き出すことができます。1つ目は、接続され、自動化された合意・契約システムを構築すると、競争を勝ち抜く機会が生まれる点です。電子契約システムを構築するテクノロジーはまだ新しく、率先してこれらのツールを活用した組織は、大きな競争優位性を獲得できます。2つ目のポイントは、他の組織も契約プロセスを改善する必要性を認識し始めている中、それを最も早く運用できた組織が、組織の内部プロセスを改善し、優れた製品を素早く顧客に提供することができるということです。

「最も大きいインパクトは、収益化までに要する時間が短縮することです。最初のコンタクトから契約締結までにかかる時間が、収益計上までにかかる時間になります。つまり、契約を成立させる署名によって利益が左右されます。」

個々のステップはデジタル化されているが相互に連携していない 

今回の調査結果からは、合意・契約システムをデジタル化しようとする動きが確かに見受けられました。問題は組織がデジタル化の第一歩を踏み出しただけで、エンドツーエンドのプロセス全体のデジタル化ができていないことです。結果的に、デジタル化できているはずのステップまでもが行き詰まってしまい、各工程が分断されたままでワークフローがサイロ化します。デジタルトランスフォーメーションの第一歩を踏み出すことも重要ですが、その一歩の勢いのまま、プロセス全体にデジタル化を拡大することが重要です。

回答者が述べた合意・契約システムは相互連携性のない部分的なソリューションである可能性が高いため、狭い範囲ではメリットはあっても、組織としての戦略にはつながりません。こうした部分的ソリューションがあっても、ステップ間の移行には手作業を要するため、組織全体で得られるメリットは限られてしまいます。

デジタルトランスフォーメーションへの第一歩として一般的な電子署名について考えてみましょう。合意・契約を考える上で、署名プロセスをデジタル化することは非常に重要です。なぜなら紙や印刷等にかかるコスト、配送遅延のリスク、印刷・スキャン・FAXの複雑なワークフローを一掃できるからです。署名のデジタル化だけでも十分なメリットが期待できますが、「契約」という大きなスキームで考えた場合、署名前後のステップを連携させて自動化すれば、さらに大きく効率が向上します。

電子署名を活用することでリードタイムの短縮やペーパーレス化、エラーの軽減など課題を解決できたら、SalesforceなどのCRMやすでに使っているシステムとの統合を検討しましょう。例えばCRMと統合した場合、日常業務で使っているCRMのインターフェイス上で営業担当者が事前に承認されている契約書のテンプレートに顧客情報を反映させ、そのまま送信・署名を回収することができたら、どうでしょうか。各ステップをつなぐ、つまり契約書の準備と署名のステップが連携されると、全体的な効率性は著しく向上するでしょう。さらに、署名者が契約書を完成させた後に必要な処理、例えば契約書のデータの転記なども自動化することができます。また、契約書の有効期限が近づいたら自動的に通知を送り、更新を促すステップを追加することもできます。組織は合意・契約システムをすでにお使いにシステムに連携させればさせるほど、その価値をより多く享受することができます。

シームレスな合意・契約プロセス

フォレスター社の調査では、回答者が現在抱えている、合意・契約におけるワークフローのステップごとの課題を特定しました。特定された課題の多くは、独立しているステップを1つの効率的な合意・契約システムに統合することで解決できます。合意プロセスの各ステップごとの一般的な課題を以下に簡単にまとめてみました。各ステップを適切に接続することで、どれほどプロセス全体がシンプルになるか、そして組織全体の実行能力が向上するかを想像してみてください。

  • 文書の生成

契約書への署名の前に、合意や契約の詳細を記載した契約書の作成が必要です。残念ながら、組織の90%は未だ手作業で契約書を用意しているため、準備に時間がかかり、また誤入力などのエラーが発生しやすくなります。DocuSign Genなどのソリューションを利用し、合意・契約システムをCRMと統合すると、データを自動的に抽出してカスタマイズされた契約書を作成し、CRMのインターフェース上で署名の依頼(文書の送信)ができます。

  • 契約書への署名

多くの組織では、少なくともどこかの部署で電子署名を採用していますが、他の部署やプロセス間での接続性を高め、もっと広い範囲で活用することができます。フォレスター社の調査では、回答者の56%が文書の可視化に苦慮しており、48%がエラーによる遅れを経験していました。署名の回収は非常に効率的でも、データに誤りがある場合や合意内容を実行するための社内準備が整わない限り、組織全体の契約プロセスは改善しません。

  • 契約の実行

契約書への署名が済むと通常、システム内の情報を更新したり、作業指示書の作成、請求・支払い手続きなどの作業が必要になります。フォレスター社によると、回答者の56%は、契約締結後のプロセスをマニュアルで行っているため、作業の重複、データ転送エラー、実行のさらなる遅れにつながると述べています。

  • 契約の検索および分析

契約は、署名捺印をして必要なアクションをしたらそれで終わりではありません。契約書に当事者全員が簡単にアクセスし、参照したり分析したりできるようにする必要があります。しかし本調査の回答者の59%は、契約書の全文を効果的に検索することはできないと報告しており、47%は契約書内の問題のある箇所を容易に検出できないためのリスクを負っています。Intelligent Insightsは、既存の契約書をすべてまとめて1つのデータベースを管理したり、AI(人工知能)を利用して契約文書をスキャンし、リスクや有利な条件を含む箇所を素早く特定することができます。

 

本調査レポート『契約管理システムの現状(2020年)』では、今日のビジネスリーダーが合意・契約システムを活用し、組織内外でどのように成果をあげているかを学ぶことができます。また、本ブログで取り上げたトレンドの詳細に加え、組織がいかにデジタルトランスフォーメーションに着手しているか、そして最先端の契約プロセスを構築するために必要な手順についてフォレスター社の主要な推奨事項が記載されています。

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