民事裁判とは?その仕組みや証拠に関する知識を解説

裁判の証拠書類をみる弁護士

「裁判」という言葉を聞くと、多くの方は「刑事裁判」をイメージするのではないでしょうか。映画やテレビドラマで描写される裁判は、その多くが刑事裁判です。そのため、刑事裁判に比べると、民事裁判はやや馴染みが薄く、実際の場面がイメージしづらいかもしれません。そこで本記事では「民事裁判とは?」というテーマに焦点を当て、民事裁判の仕組みや流れなどについて紹介。民事裁判がどのように始まり、どのような証拠をもとに判決が下されるのかを解説していきます。

民事裁判とは?始まりから終わりまでの流れ

民事裁判とは、私人間の法的な争い(紛争)を、裁判官の判決によって解決するための手続きです。裁判官は紛争の両当事者の言い分を聞いたり、証拠を調べたりして、争いの原因となっている事実を認定し、判決を下します。一般的に、金銭の貸し借りや不動産の権利といった、財産権に関する紛争を取り扱うことが多く、ほかにも損害賠償請求や離婚・認知など家族関係の紛争に関する人事訴訟などがあります。民事裁判は、訴えを提起する「原告」と、訴えを起こされた「被告」の両当事者によって争われます。

原告が訴えの内容を記載した「訴状」を裁判所に提出することで手続きが始まり、訴状に不備がなければ、被告が呼び出され、裁判が始まります。裁判では、裁判官が両当事者の争点を整理し、証拠書類や証人等の取り調べなどを経て、判決を下します。また、判決のほかにも、両当事者の和解や訴えの取下げなどによって裁判が終結することもあります。

民事裁判の判決とは?ポイントは「口頭弁論の全趣旨」と「証拠調べ」

では、民事裁判における判決は、具体的にどのように決定されるのでしょうか。

民事訴訟法第247条には、裁判官が判決を下す際には「口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する」と定められています(※1)。

「自由な心証により」とは、大まかに言えば「裁判官の自由な判断により」という意味です。つまり、判決は「口頭弁論の全趣旨」と「証拠調べの結果」をもとに、裁判官の自由な判断によって下されています。

では、「口頭弁論の全趣旨」と「証拠調べの結果」とは、具体的にどのような事象を指すのでしょうか。「口頭弁論の全趣旨」とは、裁判官の面前で両当事者が言い分を主張し合う「口頭弁論」の全体状況を指し、両当事者の主張内容や態度など、あらゆる事象がこれに含まれます。そして「証拠調べ」とは、人的証拠や物的証拠などの「証拠」を、裁判官が取り調べることを指します。

民事裁判の証拠とは?民事訴訟法で定められた5つの種類

前述のように、裁判官による証拠調べが、民事裁判における重要な役割を果たすことが分かりました。それでは、民事裁判における証拠とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。民事訴訟法には以下の5種類が規定されています(※2)。

文書:文字や記号を用いて、意思又は観念などを表したものです。図面や写真、録音テープ、ビデオテープ、その他の情報を表すために作成されたものも文書に準ずるとされており、同様に取り扱われます(※3)。文書に対する証拠調べを「書証」といいます。

検証物:人体や土地、建物など、裁判官が五感の作用によって、直接に形状や性質、状態などを観察できる証拠のことです。検証物に対する証拠調べを「検証」といいます。

証人:裁判所などに呼び出され、供述を求められた紛争の第三者のことです。証人には出頭や宣誓、供述といった証人義務があり、虚偽の証言をした際には偽証の罪によって罰せらます。証人に対する証拠調べを「証人尋問」という。

当事者:裁判の当事者及びその法定代理人のことです。裁判官からの尋問を受け、供述が求められます。当事者に対する証拠調べを「当事者尋問(本人尋問)」といいます。

鑑定人:専門的知識や学識経験に基づいて意見や判断を報告し、裁判官の知識経験を補う人物のことです。鑑定人に対する証拠調べを「鑑定」といいます。

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証拠に関する知識が、トラブルから我が身を守る

多くの人にとって馴染みの薄い民事裁判ですが、財産上の争いや損害賠償請求は、誰の身にも起こりうるトラブルです。万が一の事態に備えて、基礎知識を身に付けておくのが得策でしょう。特に、民事裁判の判決において、大きな役割を果たす証拠に関する知識は、覚えておいて損はないはずです。問題発生を予期したり、トラブルに直面した際は、事前に証拠を確保しておくことで、自らを守ることが可能になります。

一方で、裁判になるようなトラブルを未然に防ぐ対策も、備えとしては必要になるでしょう。その代表的なものの1つに契約があります。ここ数年で契約・合意のデジタル化が急速に進展し、電子契約も一般的になりつつあります。電子契約の証拠力に関する最新事情は「電子署名の利用を検討する際に知っておきたい法的ポイント」でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

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参考資料:

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筆者
Tomohiro Adachi
Content Marketing Manager
公開
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