電子契約サービスを使う5つのメリット

electronic signing with mobile tablet

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が求められ、テレワークをはじめとした場所にとらわれない働き方が急速に普及する昨今、電子契約を検討・導入する企業が増えています。今回の記事では、従来の紙の契約書と比較しながら電子契約とは何なのか、そして合意・契約に関する文書をデジタル化するメリットについて解説します。

電子契約の定義と特徴

電子契約とは、電子データの形で契約情報を作成・やり取りする契約形態を指します。日本文書情報マネジメント協会の「電子契約活用ガイドライン」では、以下のように定義されています。

電子的に作成した契約書を、インターネットなどの通信回線を用いて契約の相手方へ開示し、契約内容への合意の意思表示として、契約当事者の電子署名を付与することにより契約の締結を行うもの。

IT技術の進展や働き方改革などの要因により、電子契約サービス市場は右肩上がりで成長しています。導入する企業も参入ベンダーも増加していることで本格的な市場形成期を迎えたとも言われています。ある調査によれば2017年から2022年までの平均成長率は40.2%と予測されているほどです。

そんな電子契約ですが、従来型の紙の契約書と比較すると以下のような違いがあります。

Paper based and digital agreement comparison

紙の場合、印刷・製本、郵送、物理的な署名・押印、さらには管理といった作業が必要になりますが、電子契約ならそれら一切の手間を省略することが可能です。インターネット環境さえ整っていれば文書のやり取りができ、締結された文書はベンダーの保有するクラウド環境に保管されます。紛失の心配がなく、いつでもどこからでも必要な文書にアクセスすることができます。

また、セキュリテイや文書の真正性についてはどうでしょうか?紙の契約書においては、捺印、特に複数の書類にまたがる形で捺印を行う「割印」によって文書の真正性を証明することが多くあります。一方、ドキュサインの電子署名で電子契約を行う場合、全ての手続きが完了すると、双方の合意が取れた文書の監査証跡や客観データ、有効性を証明する完了証明書が発行され、クラウドからダウンロードしたタイミングで改ざん防止シールが施されます。

なお、「電子契約」と共によく使われる言葉として「電子署名」があります。電子署名とは技術方式によらない広義の意味の電子文書の合意・同意を記録する仕組みで、販売契約や雇用契約などの契約書のみならず、同意書や申込書、社内稟議書、イベント登録など、合意や同意を反映させるような場面で広く利用することができます。この電子署名を活用した契約が、電子契約です。電子署名に関する詳しい説明は『電子署名とは?仕組みから適法性までわかりやすく解説!』をご覧ください。

電子契約に関する法律

image of judgement

それでは、電子契約が法的な効力を持つことは法律上でどのように認められているのでしょうか。以下、『日本における電子署名の適法性』からの抜粋になります。

  • 日本法上、契約を有効に成立させるためには、契約が(大規模な建設工事の契約などの)特定の法定書式要件の対象である場合を除き、必ずしも手書きの署名や押印が要求されるものではありません。
  • 一般的な法原則として、以下に記載する一定の限られた例外を除いて、当事者が合意をすれば、その合意が口頭、電子的な書面又は紙などの物理的な書面のいずれによりなされたかにかかわらず、契約は有効に成立します 。
  • 有効な契約の存在を証明するために、当事者が裁判所に証拠を提出しなければならないことがありますが、日本の裁判所は、一般に、証拠の採用及び証拠調べにおいて幅広い裁量を有しています。先進的な電子取引管理ソリューションは、契約の存在、真正性及び有効な受諾の裏付けに役立つ、証拠としての効力 を備えた電子記録の提供を可能にします。

中には、電子契約ではなく紙の契約書のみが認められる契約も存在します。電子契約が可能な文書や具体的な法律に関するご質問は、弁護士などの専門家にご相談ください。また、電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律電子帳簿保存法など関連する法律につきましては、『電子契約関連の法律まとめ』でも解説しています。

電子署名の適法性に関する資料をダウンロード →

 

電子契約の5つのメリット

電子契約を使う主なメリットとして、契約手続きの迅速化、文書管理の効率化、コスト削減、コンプライアンス強化、環境保護の5つを挙げることができるのではないでしょうか。それぞれの項目について、以下に詳しく説明します。

①契約手続きの迅速化

契約手続きの迅速化とは、紙の契約書で必要だった印刷、直筆の署名や押印、郵送といったプロセスが省略されることを意味します。また、相手方においても署名・押印および郵送のプロセスが省略されます。また、リアルタイムでステータスを確認できるので契約手続きの透明化にもつながります。自動リマインダー機能を使えば、何度も電話やメールで催促する必要もなくなりますし、契約漏れ(特に更新や解約時)や確認漏れといったリスクも減り、結果として契約手続き全体を迅速に進められるようになります。

契約手続きの迅速化によって、商談サイクルが短くなる点も見過ごせません。より早く売上を計上できるので、経営にも好影響をもたらします。

②文書管理の効率化

契約書の作成から承認までのプロセスのみならず、その後の管理も電子契約を採用することによって効率化できます。紙の契約書を保管するにはスペースが必要であり、保管のための書棚や倉庫などをわざわざ用意しなければなりません。電子契約であれば、物理的なスペースを必要とせずクラウド上に保管されます。また、必要な時に必要な契約書に容易にアクセスすることができます。

③コスト削減

契約プロセスの効率化は、コスト削減にもつながります。特に、紙代や郵送費、収入印紙代などのコストが不要になるのは大きなメリットです。印刷や郵送、保管などの作業にかかっていた人件費も削減できます。電子契約の推進に向けたハードルの一つとして「社内調整」が挙げられますが、関係者を説得するためのロジックとして、コスト削減というのは大きいでしょう。

④コンプライアンス強化

コンプライアンスが強化されるのも、電子契約のメリットです。ドキュサインの電子署名は、全てのアクティビティやイベントを含む監査証跡を自動で記録し、手続きが完了するとドキュサインのクラウド上で安全に保存されます。また、文書をダウンロードする際には、署名済みの文書および完了証明書に改ざん防止シールが施されます。さらに、原本を紛失してしまうリスクを回避し、自然災害や社内システムの障害など不測の事態が生じた際の対策としても有効で、電子契約によってコンプライアンス強化につながると言えるでしょう。

⑤環境保護

契約のたびに印刷する必要がなくなるため、紙の消費量を減らすことができます。ビジネスの成長と環境保全の両立に向けた企業の社会的責任(CSR)が問われる現代において、契約プロセスから紙を減らすことには大きな意味があります。ドキュサインは2003年の設立以来、紙を必要とする業務のデジタル化を推進し、世界中のお客様と共に200億枚以上の紙を節約し、紙を作るのに必要な250万本以上の木を保護しています。

まとめ

会社の規模や業界・業種を問わず、さまざまなお客様がドキュサインを活用して電子契約化を推進しています。『ドキュサインお客様導入事例一覧』では日本のお客様の導入事例を紹介していますが、注目すべきは、不動産業界のように「アナログ」と思われがちな業界でも積極的に電子契約を導入しているという点です。今後益々多様な働き方や業務のデジタル化が進むにつれ、より広い業態で電子契約の導入が進んでいくと考えられます。

電子契約の導入にあたっては、その特徴やメリットを知り、自社にどう導入ができるのか、導入によって何が実現できるのかを理解することが最初のステップになります。ドキュサイン・ジャパンのブログでは、導入事例や活用方法などを紹介していますので、過去の記事も含めてぜひ参考にしてみてください。

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筆者
安達 智洋
シニア・コンテンツ・マーケティング・マネージャー
公開