日本は◯番目!?世界の祝日事情と有休取得率

空港の電光掲示板の前で待ち合わせをする男性

皆さんは、日本の祝日が年間何日あるか知っていますか?働いていると「今月は祝日が多いから旅行に出かけよう」、逆に「祝日がなくて疲れた」と思ったこともあるのではないでしょうか。

世界的にみて日本は祝日が多い、有給取得率が低いなどといわれたりすることがあります。しかし、実際はどうなのでしょうか?そこで今回は、日本と世界の祝日数や有給取得率を比較しながら、日本人の働き方について考えていきます。

日本は何位?世界の祝日数ランキング

日本で暮らしているとあまり実感できませんが、日本の祝日は世界的にも多いと言われています。そこで日本貿易振興機構(ジェトロ)の情報をもとに、2023年の世界各国・地域の祝日数を比べてみました。

出典:独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)
出典:独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)

ランキング上位を見てみると、イランやイスラエルなどの中東、スリランカやバングラデシュのような南アジア地域が多くランクインしていることが分かります。イラン(イスラム教)やイスラエル(ユダヤ教)など、宗教行事が重要視されている国では、聖誕祭や殉教日が祝日になることがあります。

また、中国は旧暦のお正月を盛大に祝う風習があり、2023年の旧正月は7連休となっています。さらに、節句の1つである「中秋節」は8日間の大型連休となっており、その結果、上位にランクインしています。

一方、日本の祝日数(振替休日を含む)は「17日」でトップ10に入っており、祝日が多い国の一つと言えそうです。日本の祝日の特徴は、自然に感謝する祝日が多いことです。春分の日、みどりの日、海の日、山の日はどれも自然の恵みに感謝したり、生き物を慈しんだりする日です。

ちゃんと休めていますか?有給休暇の取得率

世界的に見ても祝日が多い日本ですが、有給休暇はどれくらい付与されているのでしょうか。また、有給休暇の取得率はどうでしょうか。

有給休暇とは、一定期間勤続した従業員に対して心身の疲労を回復させて、ゆとりある生活を保障するために付与される休暇のことで、給料が減らされることなく休みを取得できる制度です。従業員は、付与された日数内であれば指定した日に休むことができます(時季指定権)。ただし、繁忙期など事業の正常な運営に支障をきたす場合、会社側は従業員に対して日の変更を求めることができます(時季変更権)。

では、エススペディアが実施した「世界16地域 有給休暇・国際比較調査 2022」から、日本の有給休暇の支給日数、取得日数、取得率を見ていきましょう。

日本の有給休暇取得日数と取得率の推移
エクスペディア「世界16地域 有給休暇・国際比較調査 2022」を基に作成

グラフを見ると、過去10年ほど50%〜60%を推移していることがわかります。2011年から2013年にかけては震災の影響もあり、有給休暇取得率が大きく下がりましたが、その後は50~60%に戻っています。

この50~60%という数字は、世界的にみると高いのでしょうか?低いのでしょうか?

世界の有給休暇の取得状況比較 2022年
エクスペディア「世界16地域 有給休暇・国際比較調査 2022」を基に作成

上記グラフの通り、日本は世界16地域の中で下から2番目です。祝日は多くありますが、労働者が自主的にとれる有給休暇の取得率は低い水準にあることが分かります。これは、「職場の雰囲気で取得しづらい」「周りに迷惑がかかる」「上司がいい顔をしない」など、“空気を読む”国民性が関係していると考えられます。

長い?短い?世界各国と日本の労働時間を比較してみると…

「働きすぎ」と言われることもある日本人。実際、どのくらいの時間働いているのでしょうか。まずは、世界各国と日本の労働時間を比べてみましょう。

「2022年 世界の労働時間 国別ランキング・推移」(OECD)によると、日本は44カ国中30位。年間の平均労働時間が一番長い国はコロンビアで2,405時間です。一方、日本は1,607時間(1日8時間労働と考えると約200日)となっており、世界的にみると労働時間は突出して長いわけではありません。

世界の年間労働時間 国別ランキング(2022年)
出典:GLOBAL NOTE

しかし、上記のデータは全就業者を対象にしており、パートタイム労働者も含まれていたり、サービス残業が考慮されていないため、一概に「日本の労働時間は短い」とは言えないでしょう。

次に、厚生労働省の資料を参考に、日本における年間の平均労働時間の推移を見ていきます。パートタイム労働者を含んだ一人あたりの労働時間は、1960年(昭和35年)の2,426時間をピークに、右肩下がりで推移しています。

これは、「24時間戦えますか」のキャッチフレーズに代表されるような長時間労働が当たり前だった時代を経て、2019年に施行された「働き方改革関連法」により時間外労働の上限規制が導入されたり、有給休暇取得率を上げるために5日間の有給休暇取得が義務付けられたりと、限られた時間内で効率よく業務を進めていこうという機運が高まってきた結果であるといえます。

しかし、一番の理由は「パートタイム労働者の増加」にあります。パートタイム労働者の比率は1996年頃から高まり、ここ数年間は約3割強で推移しています。パートタイム労働者はそもそも短時間での勤務なので、必然的に平均が下がるというわけです。実際、2019年以降のパートタイム労働者の平均労働時間は1,000時間弱で、一般労働者の約半分となっています。

おすすめ記事:働き方の歴史をひも解く!8時間労働や週休2日はいつから始まった?

まとめ

今回は、世界と日本の祝日数や有給取得率、労働時間を比較して紹介しました。「意外に欧米諸国の祝日数が少ない」「思ったよりも日本の労働時間は短い」と感じた方もいるのではないでしょうか。

働き方改革の推進や、テレワークの普及など、私たちの働く環境は大きく変化しています。その中で、決められた時間内で成果を出すことがより強く求められるようになってきており、さまざまな領域でIT活用も進んでいます。「休みが多いか少ないか」「労働時間が長いか短いか」と考える以上に、これからの時代は「働き方の中身」がより重視されるようになっていくでしょう。

2024年(令和6年)の祝日カレンダー

気になる2024年の祝日数(振替休日を含む)は「21日」です。祝日が日曜日に当たることが多く、翌日の月曜日が振替休日となるため、土日を含む3連休が10回と多いのが特徴です。

2023年とは異なり祝日が土曜日と被ることが少ないため、休みが多いと感じる1年になるでしょう。

20204年祝日カレンダー
  • 1月:1月1日(元旦)|1月8日(成人の日)
  • 2月:2月11日(建国記念の日)|2月12日(振替休日)|2月23日(天皇誕生日)
  • 3月:3月20日(春分の日)
  • 4月:4月29日(昭和の日)
  • 5月:5月3日(憲法記念日)|5月4日(みどりの日)|5月5日(こどもの日)|5月6日(振替休日)
  • 6月:なし
  • 7月:7月15日(海の日)
  • 8月:8月11日(山の日)|8月11日(振替休日)
  • 9月:9月16日(敬老の日)|9月22日(秋分の日)|9月23日(振替休日)
  • 10月:10月14日(スポーツの日)
  • 11月:11月3日(文化の日)|11月4日(振替休日)|11月23日(勤労感謝の日)
  • 12月:なし

 

参考:

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