不動産業界における宅地建物取引業法改正のポイント②

青空とマンション

前回のブログ記事『不動産業界における宅地建物取引業法改正のポイント①』では、重要事項説明書の電子化に関する現行の社会実験では「宅地建物取引士が記名押印した重要事項説明書等の書面(紙)による交付は必ず行う」というルールが存在しているため全ての手続きを電子化できない、という点について解説しました。

今回は、2021年4月6日に衆議院を通過した「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」の中で「宅地建物取引業法」に関してどのように記載されているのか紐解いていきます。

まず、第三十四条の二(媒介契約)の改正案として以下の記載があります。

11. 宅地建物取引業者は、第一項の書面の交付に代えて、政令で定めるところより、依頼者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であつて同項の規定による記名押印に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面に記名押印し、これを交付したものとみなす。 

12. 宅地建物取引業者は、第六項の規定による書面の引渡しに代えて、政令で定めるところにより、依頼者の承諾を得て、当該書面において証されるべき事項を電磁的方法であって国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面を引き渡したものとみなす。

これは何を意味するのでしょうか。

依頼者の承諾を得ていれば当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子署名等)で交付できる、ということです。つまり、今までは紙に記名・押印し送付する必要がありましたが、電子署名を利用して記名・押印・送付が可能になります。これにより、売主と不動産会社との契約がスムーズに進むことが期待されます。

また、第三十五条(重要事項の説明等)についてはどうでしょうか。

5 第一項から第三項までの書面の交付に当たつては、宅地建物取引士は、当該書面に記名しなければならない。

7 宅地建物取引業者は、前項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。

ポイント:以前は記名・押印が必要でしたが、改正により記名だけになる予定です。

8 宅地建物取引業者は、第一項から第三項までの規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等、第二項に規定する宅地若しくは建物の割賦販売の相手方又は第三項に規定する売買の相手方の承諾を得て、宅地建物取引士に、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であつて第五項の規定による措置に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供させることができる。 この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該宅地建物取引士に当該書面を交付させたものとみなし、同項の規定は、適用しない。

9 宅地建物取引業者は、第六項の規定により読み替えて適用する第一項又は第二項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、第六項の規定により読み替えて適用する第一項に規定する宅地建物取引業者の相手方等である宅地建物取引業者又は第六項の規定により読み替えて適用する第二項に規定する宅地若しくは建物の割賦販売の相手方である宅地建物取引業者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であつて第七項の規定による措置に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面を交付したものとみなし、同項の規定は、適用しない。

ポイント:書面の交付は事前に相手方の承諾を得て電磁的方法で記名した当該書面を交付する事が可能になる予定です。

本法案が可決されると、重要事項説明において記名・捺印して交付していた紙の書面をドキュサインの電子署名のような国土交通省令で定めるもの(補足1)で電子化できるようになります。なお、改正宅地建物取引業法の施行は2021年9月頃を予定しています。

 

<補足>

補足1:国土交通省令で定めるものとして、「重要事項説明書等の電磁的方法による交付に係る社会実験のためのガイドライン概要」にドキュサイン・ジャパン株式会社の記載があります。

補足2:宅地建物取引業法第三十五条第一項では「宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。」と規定されています。

 

免責事項:本サイトの情報は一般的な情報提供のみを目的としており、法的助言を提供することを意図したものではありません。この内容は日本国法に限定されます。電子署名に関する法律は刻々と変更される可能性があるため、ドキュサインはこのサイト上のすべての情報が最新であること、または正しいことを保証することはできません。このサイトの情報について具体的な法律上の質問がある場合は、適切な資格を有する法律家にご相談ください。

筆者
Shinya Abe
Area Vice President
公開