SLAとは?クラウドサービス選定の際は要チェック!

会議室でプレゼンする女性

IT技術の発展や企業のDX推進、働き方の多様化などを背景に、近年、急速に普及が進むクラウドサービス。クラウドサービスを検討する際、重要な役割を果たすのが「SLA(サービス品質保証)」です。そこで本記事では、SLAの役割やメリットとともに、SLAと関わりが深い「ダウンタイム」について解説します。最後までお読みいただき、より品質の高いクラウドサービスを選定しましょう。

SLA(Service Level Agreement)とは? 

SLA(Service Level Agreement)とは、サービスの提供範囲や内容、品質水準、運営ルールなどを明文化し、サービス提供事業者とユーザーの間で取り交わされる合意のことです。日本語では「サービス品質保証」「サービス水準合意」などと呼ばれ、例えばシステム運用におけるSLAでは、以下のような項目が含まれています。

  • 何%以下のダウンタイムを維持するか
  • サービスのリクエストに対して何分以内に対応開始するか
  • バックアップデータの保持期間はどれくらいか
  • 重大な障害発生時、何分以内に連絡が行われるか
  • 復旧作業が完了するまでの所要時間はどれくらいか

SLAによって、事業者とユーザー間の認識齟齬を防いだり、無用なトラブルを回避することができます。特にユーザーにとっては、SLAはサービスの可用性や安定性を測るための判断材料となり、事前にサービス内容や品質を確認したり、複数サービスを比較できるといったメリットがあります。

なお、SLAと似た用語として「SLO(Service Level Objective)」があります。SLOは、事業者が提供するシステムや製品のサービスレベルの目標・評価基準を定めたものです。SLAが事業者とユーザーとの間で合意される(訴訟問題になりえる)ものであるのに対し、SLOは事業者が自主的に設定する(確実に保証されるわけではない)という点で異なります。

SLAとの関わりが深い「ダウンタイム」

ユーザーがSLAで確認するべきポイントの1つとして、「ダウンタイム」の少なさがあります。ダウンタイムとは、システムが停止してサービスを利用できなくなる時間のことです。ダウンタイムには以下の2種類があります。

  • 計画ダウンタイム:システムメンテナンスや災害テストなどによって計画的に実施されるダウンタイム
  • 計画外ダウンタイム:システムトラブルやサイバーテロなどによって起こる計画外のダウンタイム

計画ダウンタイムはユーザーが事前告知を受けられるため、ある程度対策しやすいのが特徴です。一方、計画外ダウンタイムは事前告知を受けるのが困難であり、想定外のアクシデントや経済的損失を被るリスクがあります。

ダウンタイムは事業内容やサービスの種類、顧客からの期待値によって許容範囲が異なります。その多くは稼働率99%以上であることが期待されており、ダウンタイムそのものは1%未満しか許容されていません。以下の表は稼働率とダウンタイムの関係を示したものです。

SLA稼働率とダウンタイムの関係

例えば、ドキュサインが提供するクラウド型電子署名サービス「Docusign eSignature」の実績稼働率は99.99%で、メンテナンスによるダウンタイムはありません。電子署名サービスにおいてダウンタイムが発生すれば、必要なときに契約書を確認できなかったり、期限までに契約を締結できずにビジネスが破談してしまう可能性もあります。またビジネスのグローバル化が進む昨今、日本が深夜だからといってメンテナンスを行ってしまうと、海外の取引先は手続きを進めることができません。

ダウンタイムによって生じるリスク

ダウンタイムが発生すると、ビジネスの継続性や収益の悪化を招く可能性があります。例えば、ネット通販サイトで利用されているクラウドインフラでダウンタイムが発生した場合、サイト利用者は買い物ができなくなり、サイト運営者はその時間で見込まれる収益を失うでしょう。特に、大規模なセール中にダウンタイムが発生すれば、数分間で億単位の損失を招くことも現実的にあり得ます。

また、ダウンタイムによって利用者からの信頼や社会的信用を失ってしまうこともあります。特にヘルスケアや金融などのミッションクリティカルなサービスでは、高いセキュリティと可用性が求められ、少しのダウンタイムが訴訟につながることもあるほどです。

ダウンタイムゼロのメリット

反対にダウンタイムが少なければ、事業継続性を高めることができ、収益の増加や顧客満足度の向上が期待できます。顧客満足度が上がれば利用者の信頼を得られ、ブランドイメージやロイヤルティの向上にもつながるでしょう。こうしたメリットは、競争上の優位性につながることに加えて、ユーザー企業がサービスを存続させていくための重要な要素になります。

クラウドサービスを選定する際に「SLA」が重要な理由

クラウドサービスを選定する際に、SLAは重要な指標の1つとなります。SLAが明文化されていないクラウドサービスは、信頼性・可用性の点でビジネスリスクになり得るからです。

特に、クラウドサービスは「いつでも使える」ことが前提です。肝心なときに使えない、障害がたびたび発生して稼働しないのでは、ビジネスに支障をきたしてしまいます。すべてのクラウドサービスがSLAを掲げているわけではありませんが、インフラやネットワーク系のサービスではSLAは重要な指標としてサイトに明記されているケースもあります。クラウドサービスを選定・利用する前には、ぜひSLAを確認するようにしましょう。

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