契約書の正しい製本の仕方 - 効率化する方法や契印と割印の違いも紹介

製本された契約書

契約書が複数枚になる場合、ホチキスでとめて製本テープを使って冊子にする「袋とじ製本」がよく利用されます。しかし、うまく製本できなかったり、正しいやり方がわからないという方も多いのではないでしょうか。本記事では、正しくきれいに製本するコツをイラスト付きで解説。よくある失敗例や効率アップにつながる便利なサービスも紹介します。

契約書を製本する理由とは

契約書の製本は、法律で義務付けられているわけではありません。では、なぜ契約書を「製本」するのでしょうか。それは、ページの抜き取りや、バラバラになって紛失してしまうのを防ぐためです。また、製本していない場合は1枚ずつ印鑑を押す必要がありますが、製本すれば押印の手間を省くことができます。その他にも、帯状の紙や製本テープで本の背を作ることで見た目がきれいになり、管理しやすくなるというメリットもあります。

なお、契約書をホチキス留めをしただけの場合は、すべてのページの見開き部分に「契印」を押さなくてはいけません。ホチキスを外してしまえば、容易に改ざんできてしまうからです。2〜3枚ならよいですが、何十、何百ページにも及ぶような契約書の場合、すべてのページに押印するのは非常に時間と手間がかかります。

一方、製本した契約書はテープやのりで貼り付けられているため、ページを抜き取ることが困難です。そのため、製本テープにかかるように「契印」を押すだけでよくなります。押す場所は表紙か背表紙のどちらか1カ所で問題ありません。枚数が多くなる契約書の場合は、製本しておくとよいでしょう。

契印と割印の違いとは?

契印と割印の違い

契印(けいいん)とは、複数枚に及ぶ契約書の一部が差し替えられないよう、つなぎ目や綴り目に押す印のことです。契印はあくまで改ざんを防止するためのものなので、契印がなくても契約としての効力は変わりません。

一方、「契印」と混同されがちな言葉に「割印」があります。割印(わりいん)とは、原本と写しのように同じ内容の書類の整合性がとれていること、または関連性があることを示すために押すもので、書類を少しずらして重ねたところに押します。割印が押された2つの書類は、別々の所有者が1部ずつ保管するのが一般的です。

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契約書をきれいに製本する方法

①道具を準備する

契約書を製本する前に、必要な道具を準備しておきましょう。

<必需品>

  • ハサミ:製本テープを切るために使用します。
  • 製本テープ:契約書の場合は契印が必要なので、紙素材の白系のものを選択します。
  • ホチキス:紙の厚さによって適切な針を選びましょう。
  • 定規:厚みを測ったり、印をつけたりするために使います。

<あると便利なもの>

  • クリップ:契約書が分厚い場合、ホチキスがずれることがあります。仮止めとしてクリップで挟んでおくとズレを最小限に抑えられます。
  • のり:製本テープを会社の備品で長期保存している場合、経年劣化で粘着力が低下している場合があります。また、製品の個体差で粘着力が下がっていることもあります。接着できない場合は、のり付けする必要があるので予め準備しておくとよいでしょう。

②契約書をホチキスで留める

書類の向きや枚数、順番を確認します。厚みがある場合などは、クリップで上下を仮止めするとよいでしょう。ここで用紙がずれてしまうと見栄えが悪くなってしまうので丁寧に揃えましょう。

ホチキスは端から5mmほどあけて図のように3カ所留めます。枚数が少なければ、上と下の2カ所でも問題ありません。

契約書をホチキス留める

③契約書の厚みを測る

数枚程度なら測らなくても問題ありませんが、枚数が多い場合は製本テープの長さを決めるために契約書の厚みを測っておきましょう。目測の場合、上下の長さが足りず端が折り返せなくなる可能性があります。

④製本テープを切る

製本テープにはいろいろな種類がありますが、よく使われる「ロールタイプ」で説明します。A4サイズの契約書の場合、縦の長さは用紙の縦方向のサイズ+厚みの2倍を目安にしましょう。用紙にあててみて切るのが早いですが、心配なら定規で測ります。

製本テープを切る

⑤貼りはじめの位置を決める

表紙・背・裏表紙を均等に包むため、貼りはじめの位置を決めます。まず製本テープの幅を確認します。パッケージに書いてあることがほとんどですが、わからなければ定規で測りましょう。

次に③で測った厚み分を、製本テープの幅から引き、その数字をさらに2で割ります。そして出た数字(長さ)で表紙に鉛筆などで印をつけましょう。図のように、3カ所ほどつけておくとずれにくくなります。

製本テープの貼りはじめの位置を決める

⑥表紙面に製本テープを貼る

上下の余裕を均一に残し、ずれないように製本テープを貼っていきます。製本テープの多くは、裏の剥離紙の中心に切れ目が入っていることがほとんどです。これを利用し、まずは半分だけ剥離紙をはがします。

そして、⑦でつけた印にそって、真っ直ぐになるように貼っていきます。この時、製本テープをピンと張って、印から印へと点で貼っていくようにするときれいに貼ることができます。

表紙面から製本テープを貼る

⑦製本テープの余り部分を折り込む

表紙面が貼れたら契約書を裏返し、図のように契約書の縦横にそってハサミで切れ込みを入れましょう。

製本テープに切り込みを入れる

切った部分で端部を包み込むように折り込みます。このとき、裏表紙にかかる部分が1cmほどであれば問題ありません。あまり長いと裏表紙側の製本テープからはみ出してしまう場合があるので、適宜カットしましょう。

製本テープの余り部分を折り込む

⑧裏表紙に製本テープを貼る

シワなくきれいに貼るため、剥離紙をはがす前に背に合わせて折り目をつけておきます。

折り目をつけたら残りの剥離紙をはがし、裏表紙に製本テープを貼ります。この時、中央から外側に向けて貼っていくとシワになりにくいです。

裏表紙の製本テープを貼る

最後に、全体をしっかり貼り付けて細かいシワを伸ばせば完了です。

製本する前に確認しよう

自社や取引先のルールによっては、製本テープを使用した契約書はNGというケースもあります。法律上は問題ない製本テープですが、製本する前に社内のルールや取引先のルールを確認しておきましょう。

製本する際のよくある失敗例

正しい方法で製本をしても、時には失敗してしまうこともあります。ここでは、よくある失敗例と製本する際の注意点を紹介します。

1. 製本テープの取り扱いが難しい

切って貼ればいいだけと思われがちな製本テープですが、その扱いは意外とクセがあります。市販されている製本テープはロール状になっているものが多く、巻き癖がついています。この巻き癖のせいで、貼る時に斜めになってしまったり、シワが寄ってしまうことがあります。

また、粘着力も製品によって個体差があります。粘着が強すぎて意図しないところに張り付いてしまい大事な契約書が破けてしまったり、逆に粘着力が弱くて結局のり付けをすることになるなど、二度手間になってしまうこともあるので注意が必要です。

2. ミリ単位でもずれると目立つ

製本テープを貼るとき、1mmでも上下がずれてしまうと非常に目立ちます。また、ホチキス留めした時に用紙がズレたり分厚すぎたりすると、正確に測って貼っても斜めになってしまうこともあります。

3. 時間がなくて焦ってしまう

業務上、余裕をもって製本できないこともあります。契約日の前日夕方に承認が下り、翌日の午前中までに製本して提出するといったタイトなスケジュールの場合、焦りから失敗も多くなりがちです。後から書類の抜けが発覚したり、シワだらけで体裁の悪い契約書になってしまうこともあります。製品作業にあてる十分な時間を確保しておきましょう。

4. 文字が隠れて読めない

印刷する際、左右の余白を多めにとっておかないと製本テープで文字が隠れて読めなくなってしまうことがあります。印刷からやり直しになってしまい、大幅な手戻りが発生してしまいますので印刷前に余白設定をチェックしましょう。

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契約書をデジタル化すれば製本は不要に

契約書の製本は法律で義務付けられているわけではありませんが、特に重要な契約書についてはきれいに製本して体裁を整えたいものです。しかし、製本はすべて手作業で行う必要があるため、大きな手間がかかってしまいます

そこで活用したいのが、「電子署名サービス」です。例えば、世界180カ国以上で利用されている「DocuSign eSignature(ドキュサインの電子署名)」を使えば、契約書の準備から送付、署名捺印、保管まで、すべてオンライン上で完結するので、製本の必要はありません。印刷、郵送、ファイリングなどの工程も省略できるので、契約締結までの時間を短縮し、業務効率化やコスト削減が期待できます。

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