The Anywhere Economy - いつでも、どこでも、何でも

暗闇に浮かぶ無数の星

歴史学者たちは、2020年を新型コロナウイルス感染症が拡大した年としてだけでなく、人と場所との関係が根本的に変化した1年として振り返ることでしょう。人類の歴史の中で、このようなことがあったのは他に2回あります。

  • 農業革命:人々は狩りや採集のために移動することを辞め、代わりに農場で食料を育てることを学び、その移動を伴わない性質から町が生まれました。
  • 産業革命:人々は農場を離れて工場の近くに住み、多くの場合、それは都市部に集中しました。

私たちは今でも、農業経済と工業経済が経済全体を構成する主な要素であると語っています。しかし、過去50年間をみると、情報経済が主役に代わりつつあります。パソコンやインターネット、モバイル機器の登場により生活が変化し、今日の情報経済を支えるIT企業が誕生しました。コロナ禍でさらに加速した情報経済は、現在、「どこでも経済*」を生み出しています。

「どこでも経済」は、いつでも、どこでも、何でも、をテクノロジーによって可能にする商品やサービスによって推進されています。コロナ禍で従来型の経済活動が行き詰まったのに対し、「どこでも経済」は急成長を遂げました。Zoom、Netflix、Amazonなどは、仕事や日常生活、健全性を保つために必要不可欠なサービスとなりました。

* 本記事では、原文の「The Anywhere Economy」を「どこでも経済」と訳しています。「どこでも経済」は“いつでも・どこでも・何でも”を可能にし、働くことだけでなく、買い物や娯楽、学習など(ほとんど)すべての活動を含んでいます。

例外だったことが当たり前に

コロナ以前も、デジタル技術によって、オンラインショッピングやオンデマンドで楽しめるエンターテイメントなど「どこでも」を可能にする製品やサービスは増加傾向にありました。しかし、社会全体ではまだ例外的な存在で、一部の人のみが利用するものでした。しかし2020年、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに「どこでも」が当たり前のものになりました。家で仕事ができる人は家で仕事をし、ネットで買い物ができる人はネットで買い物をする、家や車を買う必要があれば、離れた場所からでも購入することができます。すべての人がこのような選択肢を利用できるわけではありませんが、多くの人々が何かしらのサービスを利用し、中には初めて使ったサービスもあるのではないでしょうか。

最初は「制約」だったことが、ある種の「解放」になったことも少なくありません。通勤や日常の買い物、場合によっては病院に行く煩わしさからも解放されました。

私たちは、すべてをバーチャルにしたかったのでしょうか?そうではないでしょう。しかし、バーチャルでできることの多さ、そしてその方がはるかに便利であることに驚いたはずです。

去年の今頃を思い出してみてください。当初、新型コロナウイルス感染症の拡大は人々に計り知れない不安と混乱をもたらしました。しかし、多くの人々が、この困難な状況の中で、いかに自分らしく過ごし、どのように働くべきか、その方法をみつけ、コロナが収束した後にどうなっていたいのかという考えにも変化をもたらしました。

このようにして私たちは、歴史上3回目となる「人と場所の再編」の変曲点を経験し、「どこでも経済」の台頭をもたらすことになるのです。

あなたは時代の波に乗っていますか

今後、企業や政府のリーダーは、「“人々が場所にとらわれず何でもできること”を助長しているのか、それとも妨げているのか」ということを考える必要があるでしょう。なぜなら、コロナ収束後も、人々の場所にとらわれない体験への欲求は高まる一方だからです。その一因は、コロナ禍で確立された「どこでも経済」のインフラにあります。人々は、より良い方法を見つけたら、それを続けたいと思うでしょう。このトレンドを支えるためにイノベーションを起こした企業や政府は、今後数年から数十年の間、時代の波に乗ることになるでしょう。

だからといって、誰もが何でもどこからでもやりたい、と考えているわけではありません。私たちは、対面経済の復活を歓迎するでしょう。一方、仕事や生活のさまざまな場面で、「どこでもできる」という選択肢があることも求められるでしょう。

  • 増強:多くの人が(物理的に)出席する結婚式に、遠く離れた場所からバーチャルでも出席することができるようになるなど、「どこでも経済」が「対面経済」を増強します。
  • 部分的な代替:自宅とオフィスを使い分けて働いたり、病気になった時にバーチャルで医者に診てもらったりすることで、対面経済を部分的に代替することができます。
  • 完全な代替:さらには、従来の方法よりもはるかに優れていることが証明され、最終的には置き換えられるものもあるでしょう。

この中で、ドキュサインは最後のカテゴリーに入るでしょう。不動産の購入、内定承諾書へのサイン、重要な取引先との契約など、人生や仕事において署名が必要な時、私たちは、デジタルで、素早く、簡単に、そして環境にやさしい方法で、どこからでも署名捺印ができるようサポートします。また、企業や組織・団体に対しても同じように、契約書の準備から署名・捺印、実行、管理に至るまで、契約プロセス全体を合理化できるようサーポートします。一度優れた体験をした人々は、後戻りすることはないでしょう。

しかし、それが対面経済を補強するようなものであっても、部分的に代替するものであっても、あるいは完全に代替するものであっても、いずれも経済を成長させ、新たな機会を創出していくことに間違いありません。さらに、これらの製品やサービスは、それ自体が「どこでも」を可能にするものではないとしても、間接的には「どこでも経済」に貢献することになっていくでしょう。例えば、ホームオフィス専門のリフォーム業者や、固定された住所を持たない人々のためのサービス(例:ホテルの長期滞在プラン)などです。

このように「どこでも経済」はすでに始まっており、暗い話題が続く中で希望の光となりました。人と場所の関係を再定義することで新しい生活や仕事のスタイルを可能にし、その光は今後数年、数十年にわたり、輝き続けるでしょう。

 

※本記事はドキュサイン本社のブログ「The Anywhere Economy」の抄訳になります。

筆者
Dan Springer
Chief Executive Officer
公開
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