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DocuSign eSignatureとワークフローシステムを連携し、コンプライアンスを維持しながらコスト削減を実現

伊藤忠グループの企業であり、大手システムインテグレーターとして、さまざまな業種・業界のシステム導入や運用を長年にわたりサポートしている伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)。同社では、社内ワークフローシステムとDocuSign eSignatureを連携することで、稟議申請から承認・締結、文書管理までのプロセスを一気通貫で行えるようにし、社内のコンプライアンスを遵守しながら、業務効率化とコスト削減を実現しました。

海外での実績やセキュリティ面を評価し、DocuSign eSignatureを選定

CTCが電子署名の導入に踏み切った背景の一つとして、東京オリンピックを見据えたテレワーク体制の構築がありました。しかし、同社ではそれ以前よりデジタルを活用した業務改革を推進していました。IT戦略グループ 情報システム室 ビジネスアプリケーションシステム部 アプリケーションシステム3課 課長 我妻 亮氏は、これまでの取り組みについて次のように説明します。「2008年に稟議書などの社内申請手続きの効率化と内部統制の強化に向けて、ワークフローシステムを導入しました。その後、お客様との契約でも使いたいなどの声もあったことから、電子署名の導入に本格的に着手しました」

複数の電子署名サービスを検討した結果、同社がDocuSign eSignatureを選定した理由として、クラウド型であり、セキュリティ機能が十分であったこと、海外で圧倒的な導入実績を持っていたことなどが挙げられます。また、さまざまな海外規格に準拠しており、印章管理機能で不正利用や無秩序な押印を防げるなど、他のサービスと比べて多くの優位性があったといいます。

コンプライアンス遵守のため、APIを活用して社内ワークフローシステムと連携

さらに選択を後押ししたのが、他システムとの連携を行うための豊富なコネクタやAPIが用意されており、既存の社内ワークフローシステムとの連携が容易だったことです。アプリケーションシステム3課の西山 正則氏は、「システムの一新は現場からの賛同を得られない可能性もあったので、電子署名は既存の社内ワークフローシステムと連携できることが条件でした。また、コンプライアンス対策の意味合いもありました」と語ります。

CTCでは、社内ワークフローシステムを通じて申請・承認された電子書類は「職務権限規程に準拠したもの」と定めています。今回の連携では、ワークフローシステム内で申請が承認されると、APIを介してDocuSignのエンベロープが自動生成され、関係者に署名捺印を依頼する仕組みを構築しました。「以前は、ワークフローシステムを通じて捺印の依頼を行った後、承認者が(紙に)捺印していました。その捺印作業を電子署名に置き換えたわけです。承認者や取引先は、DocuSign経由で送信されたメール内のリンクをクリックして捺印するだけです」と我妻氏は説明します。この仕組みにより、職務権限規程に基づいた申請、承認、捺印を可能にするとともに、未承認の書類は送信できないようにしています。さらにコンプライアンス対策の観点から、承認者以外のユーザーは捺印できないようにするなど、利用者を限定しています。

CTCのDocuSign eSignatureユースケース

当初は、作業報告書や検収書など、契約書を除く社内文書に限定して利用。その中で、知見を蓄積していき、現在ではパートナー企業や顧客企業など、社外との契約にも活用の範囲を広げています。その一例が、顧客やベンダーとの契約、NDA、合意書、注文書、注文請書など、主に営業部門が利用する文書です。

ペーパーレス化で年間約7,400万円のコスト削減と約1.2万時間の時間節約を想定

現在、社内ワークフローシステムとDocuSign eSignatureの連携ソリューションは、さまざまな部署での承認・契約業務で活用が進んでおり、扱う書類も年間1万件近くに達しています。膨大な量の文書で利用されていますが、現在まで安定的な運用を維持している同社。実際、DocuSign eSignatureの実績稼働率は99.99%でメンテナンスによるダウンタイムもないため、いつでもスムーズに利用することができます。我妻氏は、「情報システム部で毎年実施している社内アンケート調査では、ドキュサインの電子署名は平均点を上回る高い評価を獲得しています」と補足します。

また、今回の連携によりペーパーレス化が加速し、リモートでも申請・承認ができるようになったことで、業務効率化によるコスト効果も大きいといいます。西山氏は、「紙そのものの費用はもちろん、印刷や保管、書類のやりとりに伴う移動コストなども含めて、年間約7,400万円の削減を見込んでいます。また、工数の削減によって約12,000時間の作業時間を減らせると想定しています」と話します。

今後、同社は事業グループ会社にもDocuSign eSignatureを展開し、CTCグループ全体に拡げていくと同時に、ドキュサインのパートナーとして、DocuSign製品とワークフローシステムを連携したソリューションの提案を推進していく考えです。具体的には、自社導入・運用で培ったノウハウや知見を活かし、電子署名だけではなく、他システムとの連携やCLM(契約ライフサイクル管理)分野をカバーした付加価値の高いソリューションで、クライアント企業のニーズに柔軟に応えていくといいます。