三井物産株式会社

DXのラスト・ワンマイル - ドキュサインの電子署名で完全デジタル化を実現した三井物産

新社屋への引越しにともなう完全デジタル化をきっかけに電子署名を導入

1947年設立の日本を代表する企業のひとつ、三井物産株式会社は、2020年5月に大手町新社屋に移転し、次世代のビジネス環境への対応を目指して固定デスクを廃止したグループアドレス化を開始。ところがグループアドレス化において、無駄な時間やコストを発生させ、効率化を妨げる、契約書や稟議書といった「紙とハンコ」を必要とする文書が課題になっていました。

この「ラスト・ワンマイル」は、どの企業にとっても、エンド・ツー・エンドでのデジタル・トランスフォーメーションを実現するためのボトルネックとなっています。そして同社はその問題を解決するために、電子署名の導入に向けて舵を切りました。

「もともと社内でペーパーレスのニーズがあり、また世の中の流れは電子署名だな、という感覚はありました」と語るのは、同社デジタル総合戦略部ユーザーエクスペリエンス改革室長の下田幸大氏。「我々の部署は、三井物産全体のデジタル化を統括する部門で、以前から電子署名の調査はしていました。また弊社の法務部は先進的な考えを持っていたので、スムーズにコラボレーションができたのも大きかったと思います」と続けます。

契約に関する内規を変更して電子署名導入を実現

「紙とハンコ」は、伝統的な日本企業に存在する難攻不落のプロセスです。同社でも同様に、内規で電子署名は使えないことになっていました。電子署名の導入にあたり、特に日本の比較的大きな規模の企業では、実は技術的な問題より、この社内ルールの変更が、導入へのボトルネックになっていることがよくあります。

「弊社では、紙の契約を前提としていた内規を変更して電子署名の利用を可能としました。比較的スムーズに進めることができたのは、関係する部署が、みな同じ考えを持ち始めていたことが大きかったと思います。我々デジタルを推進する部門、法務部門、そして CFO 部門が一枚岩になって進めることができました。もちろん、他にもさまざまな部署が関連するので、彼らとはきちんとコミュニケーションをとりました」。

さらに、下田氏は「弊社は商社なので、海外との取引が非常に多く、電子署名の利用をよく見ていたことも大きかったかもしれません」と補足します。

グローバルで標準的に使われ、国内外どの顧客とも使用できるドキュサインを選択

電子署名の選択に際しては、国内外のさまざまな電子署名ツールを検討した同社。その結果、ドキュサインが提供する電子署名ソリューション「DocuSign eSignature」を選択しました。その理由として、下田氏は 1) グローバル標準なので、国内外のどの顧客ともスムーズに使うことができる利便性、2) 世界中で多くのユーザーが利用する信頼性、3) 世界中のさまざまなセキュリティの認証を受けている安全性、の3つを挙げています。

また技術的には、DocuSign eSignature が提供する350以上の連携オプションも、選択の決め手になったといいます。同社が全社的に導入している Microsoft Office 365、そして SharePoint Online との連携もスムーズで、ドキュサインは豊富な実績を誇っています。Office 365 で作成した合意・契約文書に対して電子署名で署名し、SharePoint Online で保存する、という流れをスムーズに実現できるのは DocuSign eSignature だけでした。

導入における技術的なポイントは Microsoft 製品との連携

部署ごとに管理された SharePoint Online のフォルダに格納するプロセスでは、署名済みの文書はプロセス自動化ツールである Microsoft Power Automate を利用しました。 また、以下3点を目的とし、社内ポータルに専用サイトを設置しました。

  1. 部署ごとにアクセス権を設定して統制をとる
  2. IT 部門の作業負担軽減のための ID 申請・管理の仕組みを構築
  3. 部署ごとの利用数把握(BI レポート)機能の提供

さらに SharePoint Online を利用して問い合せ掲示板を作成したり、Microsoft Power Query で問合せデータを Excel に取得してステータス管理するといったサポートの流れも作りました。

三井物産の成功事例をもって、もっと日本企業にも浸透してほしい

同社では、電子署名の導入に際し、社外の税理士や顧問弁護士に相談して監査や法令への対処を検討し、電子帳簿保存法に対応すべく内部規定も整備しました。ユーザーエクスペリエンス改革室マネージャーの波田野信彦氏は、「従来は契約書に署名捺印されて返送されるまで、長い場合は数週間かかっていましたが、(電子署名の)導入後は1日、早いものでは数時間まで短縮しました。この圧倒的なスピード感は、(社内)ユーザーの生産性向上に寄与しています。またテレワークも進んでいることもあり、ユーザー数は日を追って伸び、現在は関係会社、海外現地法人への展開も開始しています」と、電子署名の効果を語ります。

下田氏は今後の展望について次のように述べています。「合意・契約文書のペーパーレス化は、デジタル・トランスフォーメーションのラスト・ワンマイルです。これを実現することは、真の働き方改革にもつながると思います。弊社の事例をもって、もっと日本企業に電子署名が浸透していって欲しいと考えています」。

『電子署名レポート2022』公開

電子署名サービスの現状とニーズに関する調査レポート『電子署名レポート2022』では、利用率が1年前と比較して約2倍の71%に達するなど、電子署名サービスが急速に日本市場に定着していることが明らかになりました。