業務の「見える化」を可能にするワークフローで効率アップ

ワークフローの見える化

現代ビジネスで重要なキーワードの一つになっている「見える化(可視化)」。その中でも、業務における各種処理手続きを図式にして見える化する「ワークフロー」は、効率化を実現する手段として知られます。最近ではこの流れをパソコン画面上に示して運用するシステムも普及しています。日常の定型的な業務を効率化するほか、ミス発生の防止や管理体制の充実といった多くのメリットを持つワークフローの効果について、検証してみましょう。

属人化は効率ダウンの元凶?

人が行う作業(ワーク)を図式化し、項目ごとに流れ(フロー)で表現する「ワークフロー」という言葉は、20世紀はじめ、米国の製造業の現場で生まれたとされています。当時、工場の組み立てラインは機械化が進み、どうすれば効率よく大量生産できるかが重要なテーマになっていました。ラインで行われる作業の流れが見える化されたことで効率が飛躍的に向上し、その後の経済成長に寄与したことは言うまでもありません。

一方、ワークフローの概念が事務系業務に広く取り入れられたのは、戦後になってからのことです。事務系業務は遂行能力の個人差が大きいことに加え、定型化しづらいことから製造業のような効率化は難しいと考えられていましたが、その後の試行錯誤によって高度な柔軟性をもたせることが可能になり、1990年代に入るとサービス業、小売業など幅広い分野で積極的に導入されるようになりました。そして、コンピューターの普及に合わせて業務の効率化が大きなテーマになり、ワークフローはあらゆるビジネス領域で使える「業務効率化の切り札」として注目を集めたのです。

ここで注意したいのは、ワークフローの導入ですぐに効率化が実現できるわけではないということです。たとえば、備品購入や経費の精算など、申請から承認までの流れにワークフローを導入する場合、業務の進め方がスタッフによって違う状態では標準化できず、むしろ効率を低下させてしまう恐れがあります。ワークフローを活用するためには、あらかじめ各スタッフの業務内容や仕事の進め方を確認し、ベテランと若手といった個人差、あるいは熟練度による処理スピードの違いなどを明らかにした上で、できるだけ全員が実践しやすい形になるよう調整が必要です。

ワークフロー導入のメリット

オフィスワークの内容は多種多様です。ワークフローが登場する前、多くの企業は社員教育として配属部署の大まかな業務内容を説明した後、「いつ」「誰が」「何をするか」について実際にOJTを進めていくスタイルが一般的でした。しかし、業務の進め方は人によりさまざまで、定型的な業務であってもメンバーごとに微妙な「流れの違い」が出てしまいます。また、人は一度学んだ手順を反復して効率を上げようとするため、もし一連の業務の中に「無駄」と思われる部分があっても、そのまま続けてしまう傾向があります。その結果、無駄な手順や作業を含んだ業務を続けることになり、効率の悪い状態から抜け出せなくなってしまうのです。

OTJとワークフローを活用した場合の比較

業務をワークフローとして図式化することには、さまざまなメリットがあります。まず挙げられるのは、目に見えない業務の「無駄」が明らかになることです。スタートから完了に至る流れの中で、「ここは不要なのでは?」「この2つをまとめて処理できないか?」というような部分が見つかれば、直ちに改善へと結びつけることが可能です。また、ワークフローの各プロセスを担当するメンバーにかかる「負荷」についても明確に示されるため、「この人の仕事が多すぎる」「ここは人数をもう一人増やし(減らし)たら?」というように、各メンバーがどんな状況で仕事をこなしているかが具体的に見えてきます。これらは組織改編にもつながる重要なポイントで、ワークフローは業務改善に直結します。

ワークフローの導入にあたっては、一連の業務で発生し得る「ミス」をいかに防げるかが大きなポイントになります。転記や入力など、あらかじめ人為的なミスが発生しやすいと思われる項目をピックアップし、その部分を重点的にチェックするワークフローを整備することでミスを防ぐとともに、必要に応じてチェックを行う人員を増やすなど、効率よくビジネスを進めることが可能になります。また、ワークフローによる業務の「見える化」は、組織を運営するための重要テーマであるコーポレート・ガバナンス(内部統制)の強化にもつながります。これは、標準化によって担当者が業務の「証拠」を残すことで責任が明確化し、イレギュラーな動きや内部不正のリスクが抑えられるというもので、コンプライアンス重視の傾向が強い現代企業にとってワークフローは頼もしい存在と言えるでしょう。

ワークフローのデジタル化でさらなるビジネス変革を実現

ワークフローのデジタル化

現在のビジネスシーンでは、「オフィスから紙をなくす」といったペーパーレスの動きが加速しています。紙のワークフローをデジタル化すれば書類が減ることは確実ですが、やはりビジネスの成長、発展に結びつくメリットが欲しいところです。前述の「ワークフロー導入のメリット」に加えて、デジタル化では具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。

ワークフローのデジタル化は、ビジネスの効率化を進めるための多様な効果をもたらします。たとえばある業務の進捗状況を調べる場合、従来は担当者に直接確認するか各担当者が提出した書類に目を通す必要がありましたが、デジタル化によってリアルタイムで関係者全員が各工程およびプロジェクト全体のステータスを確認することが可能になります。また、承認のために責任者が書類を確認する際も申請がデータの形で届けられるため、上司は外出先でも承認の手順を踏むことができます。さらに、工程から工程の流れを自動でモニタリングする機能を使うことで、進行が遅れている業務を見つけ出し、プロジェクト全体の遅延やトラブル発生を未然に防ぐ効果も期待できます。

合意・契約プロセスにおいてもワークフローを取り入れることができます。ドキュサインが提供する電子署名を使えば、署名プロセスをデジタル化し、どのような順番で文書を回覧し、誰が署名・捺印する必要があるか等のワークフローを設定することができます。また、いつでも文書のステータスを確認することができ、署名を催促するリマインダーや署名が完了した際には自動で通知が送られます。より高度なワークフローが設定できる条件付きルーティングについては、「コード不要!条件付きルーティングで柔軟なワークフローを実現」で解説しています。

デジタルを活用したワークフローは、従来の業務スタイルが抱える問題点を浮き彫りにすることで業務の効率化を推進し、今までマニュアルで行っていた作業を自動化します。これにより、生産性が向上し、ビジネスの発展につながります。導入後は実際にPDCAを回しながら改善を重ねるとともに、現場スタッフの意見を取り入れながら課題解決を図ることで、さらには大きな成果をもたらすことが期待されています。

まとめ

製造業の生産現場で誕生したワークフローは現在、あらゆるビジネスを効率化し、生産性を向上させる手段のひとつとして広く用いられています。ただし、単に業務手順を追うだけのワークフローはマニュアル作業の一種に過ぎず、十分な効果が得られないというのも事実です。導入に当たっては各社員が行っている業務を項目ごとに「見える化」して効率化が遅れている部分を洗い出し、生産性向上が期待できるところから順次取り組みを進めるといった工夫が必要です。

また、テクノロジーを活用したオンラインでのワークフロー管理は、働き方の新しいスタイルとして導入が進むテレワークや、次世代のビジネスを創造するDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にもつながる有効な手段です。すでにワークフローを導入している方も、もう一度その活用度をチェックして、業務の質を高めるという目的に見合った形の運用を考えてみるべきでしょう。

ドキュサインで合意・契約プロセスを効率化! 今すぐ試してみる → 

公開
関連トピック