2000年と2020年を徹底比較!デジタル化やモバイル化されたものを振り返る

ブラウン管テレビとビデオデッキ

私たちの生活に欠かせないデジタル技術。スマートフォンやタブレットは、今や生活必需品といっても過言ではないでしょう。しかし、これらの技術は古くから存在していたのではありません。私たちが当たり前に利用しているデジタル技術の多くは、時代の変遷とともにここ20年ほどの間に開発・整備され、暮らしに影響を及ぼしています。そこで本記事では、2000年以降のデジタル化・モバイル化の歩みをたどりながら、それらの変化が私たちのライフスタイルにどのような変化を与えてきたのかを振り返ります。

2000年の「IT革命」以降、デジタル化・モバイル化が加速

今から20年前の2000年、日本のデジタル化の歴史にとって象徴的な出来事が起こりました。

「IT革命」という言葉の流行です。情報技術による社会・生活の変革を意味するこの言葉は、2000年6月には政府機関の文書内で用いられ (※1)、その年の「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞にも選出されるなど(※2)、社会全体にデジタル時代の到来を広く印象付けました。そうした社会的背景の中でデジタル技術は急速に進化。2000年以降、ネットワークの高速化や大容量化、定額制通信サービスの提供開始などによって、さまざまなツールやデバイスのデジタル化・モバイル化を実現していきます。

モバイル化されていくカメラ、テレビ、音楽CD

2000年以降に大きく姿を変えたツールの代表がカメラです。2000年以前、カメラの主流はフィルム(銀塩)カメラであり、「写ルンです」などの使い捨てカメラ(レンズ付きフォルム)も広く利用されていました。

しかし、内蔵型カメラ付きの携帯電話の登場をきっかけに、カメラ付き携帯電話で撮影した画像をEメールでやり取りできるサービス「写メール」が急速に普及。カメラが携帯電話の標準的な機能の1つとなり、さらに2003年には、出荷台数においてデジタルカメラがフィルムカメラを超えるなど(※3)、カメラのデジタル化・モバイル化が進行します。

2000年代には、テレビのデジタル化・モバイル化も進みます。2006年、携帯電話やカーナビなどの通信機器で地上デジタル放送を受信できる、いわゆる「ワンセグ」の放送がスタート。従来、屋内での視聴が一般的だったテレビ放送が、街中や移動中でも視聴できるようになりました。

さらに、2000年代にデジタル化が進んだものとしてCDが挙げられます。2000年代初頭、音楽ソフト市場においてCDは全体の95%以上を占めていましたが、2000年代中頃から、音楽データのダウンロードによる販売が台頭するとシェアをみるみるうちに減少させ、2018年にはピーク時の約半分以下のシェアに下降します(※4)。最近では、サブスクリプション方式による定額制の音楽配信サービスが普及し、CDに代わる役割を果たしつつあります。

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切符、電話帳、紙地図。さまざまな「紙」のデジタル化が進む

電話帳と受話器

2000年以降には、さまざまな紙のメディアやツールも、デジタル技術に置き換えられていきました。その一例が切符です。2001年、JR東日本がSuicaを導入して以降、さまざまな交通系ICカードのサービスが開始され、切符の機能を代替するようになりました。2013年にはSuicaやPASMO、ICOCAなど発行元の異なる交通系ICカードの相互利用が可能になったことでさらに普及が拡大し、全国的に切符からICカードへの移行が進んでいます。

また、デジタル化が顕著な紙のツールに電話帳があります。かつては、固定電話の50音別電話帳「ハローページ」や職業別電話帳の「タウンページ」などが広く流通しており、電話を利用するうえで欠かせないツールとなっていましたが、インターネットなど代替手段の台頭により、2000年代中頃から発行部数が減少。今年の6月には、「ハローページ」の2021年10月での発行終了が発表されるなど(※5)、電話帳を目にする機会はますます減りそうです。

紙の地図もスマートフォンの普及を受けて、市場を縮小させています。国土地理院が発行する紙地図の販売数は、2016年度にはピーク時の約20分の1にまで減少(※6)。2017年に実施された一部調査でも、地図の利用手段としてPCやスマートフォンが紙地図を大幅に上回るなど(※7)、デジタル化が進んでいます。

より加速するデジタル化。来るべき未来を見据えたアクションを

こうして20年間にわたるデジタル化の変遷を振り返ると、まさに隔世の感があります。わずか20年前には、携帯電話に音楽や動画サービスはもちろん、カメラも搭載されていません。電車に乗る際は、定期区間以外はその都度ごとに乗車券を購入していましたし、分厚い電話帳や地図帳で電話番号や地図帳を調べていました。これらがすべてスマートフォン上で統合され、まさに環境が様変わりしました。

日常生活だけでなくビジネスの現場においても、デジタル化・モバイル化は進んでいます。デスクにあった固定電話は携帯電話へ、対面で行っていた会議や打ち合わせはオンラインへ、そして紙の書類はデジタルデータへと変わりつつあります。また、契約や稟議の場面で必要な印鑑や直筆の署名についてもデジタル化が進み、電子署名電子印鑑といったソリューションが一般的に定着する未来もそう遠くはないでしょう。

こうした社会の変化は、今なお続いています。新たな技術は常に生まれており、急速なスピードで社会に普及しています。現在は目新しく映る技術やツールであっても、数年後には生活やビジネスに欠かせないスタンダードになっていることも十分にあり得ます。モノが進化していく過程で、私たち自身も進化していくことが求められているのかもしれません。

紙やハンコをデジタル化する方法とは →

 

出典:

筆者
安達 智洋
シニア・コンテンツ・マーケティング・マネージャー
公開