一発アウト? 契約書を紛失した際の問題点と対応方法とは

契約書を紛失した男性

企業にとって、契約書を作成し長期間保管することは極めて重要です。もし、そんな大切な契約書を紛失してしまったら何が起こるのでしょうか?

企業が契約書を保管しておく重要さ(紛争時の証拠になる)や紛失した場合の対応策、さらに紛失のリスクがない電子契約について、セキュリティ対策を含めて紹介します。

契約書を紛失したら何が問題か?

契約書というと、とにかく「とても大事な書類である」と考えられています。しかし、どのように重要な書類で、存在しないと何が困るのかを具体的に理解していないと、いざ紛失した際にパニックになってしまいます。まずは、改めて契約書の存在意義と紛失時の問題を再確認しましょう。

トラブル発生時のリスクが増大する

契約書が存在しないと、契約にまつわるトラブルを簡単に解決するのが難しくなります。「契約書にこう書いてあるから、このように対処すべきだ」と伝えづらくなり、言った・言わないという水掛け論になってしまいがちです。

そもそも、契約自体に契約書は必須ではありません。近代市民法の重要な原則である「契約自由の原則」の中には、「契約締結の方式の自由」というものが含まれています(民法522条2項)。原則として契約は当事者の合意だけで成立するものであり、口頭だけの合意で済ますのか、あるいは契約書の形で合意内容を書面化するのかは自由なのです。

しかし現実問題としては、ビジネスの世界で契約書を作らないことには大きなリスクがあると考えるべきでしょう。契約内容は細かく定められるものですから、口約束だけでは忘れてしまいます。合意の内容を契約書に落とし込んで証拠とできますし、お互い署名捺印を済ませれば、お互いの合意に基づく契約であることの証明にもなります。

無用なトラブルを防ぐためにも契約書は残すべきですし、一度作成した契約書は証拠として長く保管すべきであることは、言うまでもありません。

紛争が起きた際に不利が生じやすくなる

契約書は、万が一紛争が起きた際にも重要な証拠となります。逆にこれを紛失してしまうと、トラブルが裁判沙汰にまで発展した時に極めて不利な状況になることが考えられます。

紛争解決方法についても、原則として契約の当事者の合意で定めることができます。例えば、「合意管轄」という言葉があります。代金の不払いや損害賠償、製品・サービスの不備などといったトラブルが発生して、当事者同士の話し合いだけでは解決しなかった時に、どの裁判所で裁判を実施するのか(管轄)を決めておくことです。

これを決めておかないと、自社と相手方の距離が離れている時に、裁判のたびに弁護士を含めた関係者を遠方の裁判所まで派遣することを余儀なくされ、裁判費用が高額に膨れ上がりかねません。請求額との兼ね合いで、裁判を行う方が高額であるために、泣き寝入りを強いられる可能性もあるでしょう。

こうした事態を防ぐためにも、トラブル時の対応をあらかじめ契約書に盛り込むこと、そしてその契約書を紛失せず大事に保管することが重要になってくるわけです。

慌てないで! 契約書を紛失した際の3つの対応とは?

喜ぶビジネスパーソンたち

契約書は大切に保管されていることと思いますが、それでも紛失のリスクはゼロにはなりません。オフィスの引越しの際にうっかり処分してしまった、移動時に社員が電車の中に置いてきてしまったなど、さまざまなミスは人間につきものです。紛失しないに越したことはありませんが、紛失した際の対応も頭に入れておくとよいでしょう。

契約相手に謝罪する

当たり前のようですが、まずは契約相手への報告と謝罪が最優先です。契約というのは口約束でも成立するもので、契約書の存在が必須というわけではないことを思い出しましょう。契約書の紛失が即契約破棄につながるわけではありませんから、冷静に対処することが求められます。会社と会社、人と人のつながりで成り立つ契約ですから、まずは紛失したことに対して誠意のある対応を見せるようにしましょう。

あなたが会社に属しているのであればすぐ上司に報告した方がよいでしょうし、個人での契約であれば相手へすぐ報告・謝罪することが望ましいでしょう。紛失を隠して傷を広げるぐらいなら、誠実に対応する方がよいはずです。繰り返しになりますが、紛失が即契約破棄を意味するわけではありません。

契約書のコピーを探す、コピーさせてもらう

契約書を作成した際に、紛失時のリスクを考慮してコピーを取っていたということはないでしょうか。注意深い会社・個人であれば、原本とコピーを別の場所に保管しているかも知れません。原本の紛失で慌てる前に、コピーがないか探してみてください。

コピーが見つからない場合は、契約相手にコピーさせてもらう手もあります。あるいは、相手に再発行手続きを依頼できるケースもあります。再発行する際は、紛失した契約書が発見された場合を踏まえて、その契約書の内容が無効となる旨の一言を新たな契約書に添えておくと安全でしょう。

契約書のスキャンデータや電子データを探す

契約書は、電子データであっても有効です。電子署名法第3条には、本人による電子署名があれば電子文書(電磁的記録に記録された情報)について真正な成立(契約当事者の意思に基づいて作成されたこと)を推定する旨が明記されています。契約内容について合意が取れていることを確認するための書類が契約書であり、それが紙ではなく電子データであっても、内容の分かるものであれば大丈夫なのです。

そのため、紙の契約書を見つけられなかったとしても、スキャンデータや電子データを取得できればリスクを回避できます。今の時代では、バックアップ目的で電子データとしても契約書を管理している企業は少なくありません。冷静になって社内ネットワークの中を確認しましょう。

契約書を紛失しないための電子契約

電子契約書に署名する男性

契約書を紛失するのは、紙だからです。契約書を電子データとして保管していれば、うっかり電車に置き忘れたり裁断してしまったりするリスクはありません。また、山積みにされた書類の中から契約書を探す、という苦労もありません。最近では、紙の契約書に代わって電子契約を導入する企業も増えています。電子契約のメリットについて、最後にご紹介しましょう。

クラウド上で保管されるので紛失の心配がない

何より、紛失リスクがないというメリットがあります。電子契約書は、電子データとしてクラウド上のサーバで保管されていますから、人的なミスによって紛失する可能性が極めて低いです。もちろん、火事や地震・津波・洪水などの災害で毀損(きそん)されるリスクもありません。

保管場所の心配がない

会社や事業が拡大すると、契約書の数も自ずと増えてきます。紙の契約書の保管というのは案外スペースを取るもので、そのために広めのオフィスを借りるとなるとコストがかかります。すぐ見つけられるよう、会社別や年次別などに分けて整理をするのも面倒なものです。

電子契約書であれば、こうした保管をめぐる課題が一挙に解決します。物理的な保管場所は要りませんし、検索性も高いため「あの契約書はどこにしまったのか?」と探す手間が省けます。

電子契約なら「漏れ」の心配がない

契約に関する業務でストレスを感じやすいのは「相手はいつ契約書を送り返してくれるのか?」分からないことではないでしょうか。紙に署名ないし捺印、あるいは両方をして返送してくれないと契約成立とならず、特に受注側にしてみると売上の見込みを立てづらくなります。もしかすると相手が契約書への対応をうっかり忘れているかもしれない、でも関係上しつこく催促をするわけにもいかないということで、やきもきする担当者も多いことでしょう。

また、オンラインでステータスの確認および管理が可能なので、書類に埋もれて確認漏れを起こすリスクが減ります。いつ契約書が作成され、いつ相手が対応したか(あるいはしていないか)を可視化できるのは、担当者の心理的な負担を大きく減らしてくれるはずです。

さらに、記入漏れのリスクも回避できます。ドキュサインの電子署名なら、署名者から取得したい情報、たとえば、署名や印鑑、氏名、住所、役職などのフィールドを文書に配置することができ、署名者はそれらの情報を入力しない限り、送信できないようになっています。

ドキュサインの電子署名ならセキュリティ対策も万全

電子契約で気になるのがセキュリティ対策です。ドキュサインでは、電子署名のトランザクション自体に最高レベルのセキュリティ対策を講じているのはもちろん、世界中でサービスを継続して提供するため、スケーラブルで高性能、高可用性のプラットフォームを維持しています。また、署名完了(契約締結)後には、契約プロセスにおける全てのトランザクションを記録した完了証明書を発行することができ、これには改ざん防止シールが施されています。

まとめ

決して「契約書を紛失したら契約が全て駄目になってしまう」ということはありません。しかし、紛失しないよう注意することはもちろん、紛失した場合の対応フローについても事前にまとめておきましょう。また紛失自体のリスクを抑えるためには、契約業務とプロセスのデジタル化が欠かせません。ドキュサインでは、30日間の無料トライアルをご用意しています。ぜひこの機会に電子契約を検討してみてはいかがでしょうか。

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筆者
安達 智洋
シニア・コンテンツ・マーケティング・マネージャー
公開