「実印」と「認印」の違いとは?知っておきたいハンコのQ&A

実印と認印の違い

実印や認印という言葉は日常でよく耳にします。しかし、詳細に実印と認印の違いを理解している方はそれほど多くはないのではないでしょうか。「百均で買ったハンコは実印にできるの?」「実印を紛失したらどうしたらいい?」「スタンプタイプのハンコは認印として使えるの?」など、実印や認印について知っておきたい知識は少なくありません。そこで本記事では、実印と認印の違いや実印に関する疑問について、一問一答形式で解説していきます。

実印と認印の違いは、市区町村への登録の有無

実印と認印の違いは?

実印とは、市区町村に登録したハンコのことです。居住する市区町村に届け出をすることで、実印を作成することができます。実印は、不動産取引や住宅ローン、保険の加入、また遺産相続など、法律に押印が規定されている場合に用いられ、市区町村が発行した「印鑑登録証明書」をあわせて提出することで、実印の証明を行います。なお、印鑑登録証明書については『「脱ハンコ」時代に印鑑証明はなぜ必要なのか?』で詳しく解説していますが、簡単に言うと、実印が間違いなく本人のものであるかを証明する書類になります。

一方、認印は印鑑登録をしていないハンコのことを指します(参考:公益社団法人 全日本印章業協会 印章教科書)。一般的には、領収書や荷物の受領などの際に用いられていますが、近年では行政主導の「脱ハンコ」の推進などにより、利用シーンが減少する傾向にあります。

実印を2つ持つことは可能?

原則として個人で登録できる実印は1本です。ただし、実印には「会社実印」と呼ばれる、法人名義のものも存在しており、法人の代表者が複数存在する場合は、複数の実印を登録することができます。

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子供でも実印を持つことはできる?

原則として、満15歳未満の者は印鑑登録ができないことになっています。また、判断能力を欠くことから、家庭裁判所に後見人を付されている成年被後見人も印鑑登録をすることはできず、実印を持つことができません。

実印・認印として使えるハンコとは

百均で買ったハンコは実印にできる?

原則的に印鑑登録が可能です。しかし、百均など市販に広く流通しているハンコは同一印影のハンコを入手しやすいのも特徴です。悪用されるリスクを避けるためにも実印には個別に作成したハンコを用いるのが一般的です。

どんなハンコでも実印にできる?

印影が変形・摩耗しやすいゴム印などは印鑑登録できないとされています。例えば、東京都千代田区の「千代田区印鑑条例並びに施行規則」では、「ゴム印その他の印鑑で変形しやすいもの」を印鑑登録することはできないとしています。また、印影が一辺8ミリメートルの正方形に収まるほど小さかったり、反対に一辺25ミリメートルの正方形に収まらないほど大きかったりするハンコも印鑑登録不可とされています。そのほか、印影が不鮮明なハンコや登録者の氏名と一致しない印影のハンコなども、原則として印鑑登録できません。

スタンプタイプのハンコは認印として使えるの?

認印とは、印鑑登録をしていないハンコを指し、文書を確認したことなどを明示するための「しるし」の役割を果たします。そのため、形状などに規定はなく、スタンプタイプのハンコ(インク浸透印)でも認印にすることは可能です。なお、スタンプタイプのハンコの多くは印面がゴム製のため、その場合は印鑑登録することはできない、つまり実印として使用することはできません。

実印を紛失したら、速やかに「改印届」の提出を

実印を紛失したらどうすればよい?

印鑑登録をした市区町村に紛失届を提出し、さらに新たな印影を登録する「改印届」を提出して、新たな実印を作成します。また、紛失した実印が悪用されるリスクを避けるため、実印を紛失した際には警察に紛失届を提出するのも忘れないようにしましょう。

一度印鑑登録したハンコの登録を取り消すことは可能?

印鑑登録を取り消すことは可能です。印鑑登録した市町村に印鑑登録廃止申請を行えば、印鑑登録を取り消すことができます。

引っ越しのたびに、転入先で印鑑登録の手続きをしなければならない?

他の市区町村に転居する場合は、再度の印鑑登録が必要です。しかし、同じ市区町村内での引っ越しであれば、再度の手続きは不要になります。また、転出届を提出すると、原則として、転出日に転出先の市区町村で印鑑登録が廃止されます。

結婚などで氏名を変更した場合、印鑑登録の変更は必要?

印鑑登録された印影に旧姓が刻印されている場合や、姓名の両方が刻印されている場合は、印鑑登録の変更手続きが必要です。しかし、印影に名前だけが刻印されている場合は、変更手続きは不要になります。

豆知識を身につけて、正しくハンコを使おう

実印は、不動産取引や生命保険・自動車保険など各種保険の加入、金融期間から融資を受ける際や公正証書の作成などで用いられます。一方、認印については、さまざまなシーンで利用されており、電子印鑑を利用した書類のデジタル化も進んでいます。たとえばドキュサインの電子印鑑は、印影の画像データだけでなく、いつ・誰が・どこで捺印したかといった使用者情報が記録されるので、本人の真正性を証明しやすく、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進や押印業務の効率化を目的に多くの企業で導入されています。

一概にハンコと言っても、契約の種類や利用シーンによって使えるもの・使えないものがあります。そのため、実印と認印の違いを正しく理解し、適切にハンコを使用することはとても重要です。また、「押印」と「捺印」の違いなど、知っているようで知らないハンコの知識は意外に多いかもしれません。暮らし・ビジネスに欠かせないハンコのあれこれについては、以下ブログ記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

「押印」と「捺印」の違いとは?知って得するハンコの豆知識 →

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