契約ライフサイクルマネジメントの夜明け

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これまで、契約ライフサイクルマネジメント(CLM)のソリューションベンダーは、ビジネスの2つの側面のいずれかをサポートするための限定的なソリューションを提供してきました。1つ目は、購買調達部門向けです。サプライヤとの契約を管理しエンタープライズリソースプランニング(ERP)や調達部門のバックオフィスのシステムと統合します。2つ目は販売側の契約ライフサイクル管理です。これは販売契約に焦点を当て、顧客関係管理システム(CRM)のようなシステムと連携します。

しかし、デジタルテクノロジーの進化に伴い、使用する組織とツールもそれに合わせて変えていく必要があります。CLMのこのどちらかまたは両方の分類などはもはや特定の時代遅れのアプローチです。それに代わり、CLM市場は、ますますデジタル化する環境に適応する総合的なオプションをお客様に提供する必要に迫られてきました。

従来の契約ライフサイクルマネジメントソリューションの課題

限られたユースケース

ネットの接続が当たり前のデジタルの世界では、それぞれ複数の部門ごとのCLMシステムを使用してビジネスを進めることはもはや限界になってきています。ある意味、部門毎にそれぞれ特化しているがゆえに、課題解決し得るユースケースを制限してしまっているのです。たとえば、「購入側」のCLMシステムは、調達がベンダーと価格を交渉するのに役立ちますが、人事部門が新しい従業員の契約と給与の詳細を打ち出すことはできません。同様に、「販売側」のCLMはクライアント契約を効果的に管理できますが、法務部門が契約のコンプライアンスを確保するのにほとんど役立ちません。言うまでもなく、特殊な製品は一般に大規模なエンタープライズ市場に対応しているため、小規模または中規模の組織では実装が高価で困難になります。

総コストの増加

これらのレガシーシステムは、企業組織の収益性も低下させる可能性があります。国際契約商業管理協会の調査によると、非効率的な契約ライフサイクルマネジメントは、収益の最大9.2%のコスト増が発生する可能性があると言っています。これらの生産性の損失により、総所有コストが増加し、販売前に本来得られるべきビジネス上の利益が減少します。販売部門、法務部門、およびサービス部門は1つのシステムを介して接続されていないため、全ての処理が遅くなります。さまざまな部門が契約のレビューを待つか、必要に応じて契約を詰めなければならないため、部門間をまたぐCLMシステムが導入されていれば回避できるはずだった取引の遅れや収益の損失に繋がってしまいます。

顧客体験の悪さ

これらの旧世代の製品には、もう一つの知られざる問題点があります。それは、顧客サービスの低下です。ドキュサインの委託によるForresterの調査レポート The 2019 State of Systems of Agreementから、「企業の45%が自身の非効率的な、手動契約プロセスが悪い顧客体験をもたらしてきたと感じている」ことがわかりました。コラボレーションミスが起こりやすい手動のツールを使用しては、責任の所在の曖昧さを産み、不明な交渉条件や、処理の遅さによって、顧客やサプライヤーとの関係を損ない、最終的にはビジネスの損失につながる可能性があります。

企業全体の一元化されたCLMシステムへの切り替えの利点 

見える化を促進

今日のCLMソリューションは、より高い基準を満たす必要があります。幸いなことに、最新のCLMは企業全体に広げることができるので、従業員と顧客は、すべての部門にわたって契約プロセスを集中化、接続、および自動化できます。この合理化されたアプローチにより、組織全体の見える化を促進します。法務部門、営業部門、顧客部門、人事部門まで、契約ライフサイクルのすべての部分にアクセスでき、サイロの解消、作業プロセスの合理化、ポートフォリオレベルでのコンプライアンス向上のためにOne Teamで活動できます。

標準化されたバージョン管理

最新のCLMソフトウェアは、無理無駄のないプロセスの構築を可能にする必要があります。これにより、企業は新しいワークフローを迅速に実装し、契約が販売から顧客および法務チームに遷移、完了するまで一貫性を保持できます。また、契約書 は署名捺印依頼を相手先に送る前に何度かレビューと修正が繰り返されることが一般的であるため、企業組織は文書の複数のバージョンを追尾できるソリューションが必要です。このようにして、企業組織ではどのような変更が行われたのか、誰がそれらの編集を行ったのか、そしていつ行ったのかについて一箇所でメンテナンス可能になります。

コンプライアンスの簡素化

最後に、おそらく最も重要なことは、今日の企業は、コンプライアンスとセキュリティを維持するのに役立つ企業全体のCLMを必要としているということです。ほとんどの契約ライフサイクルでは、多くの部門、アプリケーション、チームに契約書が分散しており、それらはそれぞれ様々なレベルのセキュリティとコントロールされています。これにより、多くの組織と契約書がデータ漏洩や個人情報流出のリスクにさらされる可能性があります。望ましいCLMは、カスタマイズ可能なドキュメント権限を持ち、保護された検索可能で一元化されたリポジトリに契約書を蓄積します。法務部は、契約状況を監視して、未履行の契約を排除し、契約の有効期限を管理し、契約の進捗や効果を詳細に分析できます。 この機能により、コンプライアンスが管理から複雑な契約上の義務を扱うためのガバナンスモデルにシフトします。新しいコンプライアンスモデルにより整合性が向上し、両者で簡単に協力して相互に修正できるため、長期的にコンプライアンス違反やミスが発生しにくくなります。

この新しいクラスのCLMシステムが登場したため、ドキュサインは独自のアプローチと強力で機能的なコンポーネントにより、業界をリードするベンダーの1つとして特徴的と言えるでしょう。このソリューションは、購買部門または販売部門のみに焦点を合わせていません。組織のベンダー、顧客、法務や人事などの内部部門を1つの総合システムでつなぐ「すべて」の製品として動作します。

  • DocuSign CLMは、契約ライフサイクル内のすべてのステップをサポートします。まず最初は 契約書生成を自動化するところから開始します。プロセスのこの段階は、手作業から起こるミスが発生しやすいところです。他の契約書、チーム、顧客データからの情報をコピーして1つの新しい文書に貼り付ける必要があります。しかし、DocuSign CLMを使用すると、事前に構成されたテンプレートと条件判定の設定により、契約書が法務で承認された文言と正確な顧客データを使って自動入力されます。すべてボタンをクリックするだけです。
  • DocuSign CLMの強力なワークフローエンジンにより、企業組織は複雑な合意プロセスをデザインすることもできます。使いやすいドラッグアンドドロップインターフェイスにより、企業組織は、全体の契約書ライフサイクルの中で契約書が置かれている状態をクリアにすることで、サクッと部門間の引き継ぎや次のアクションを自動化できます。組織企業は、すべてが効率的に進められていることを確認できます。
  • DocuSign CLMのような自動化、簡単なコラボレーション、コンプライアンス戦略を提供する製品は、これまで多く販売されていたサイロ化された購買向けまたは販売向け製品とは大きく異なります。現在、ビジネス(特に中小規模のビジネス)は、収益性の高いデジタルファーストの未来に向けての準備を進めている段階です。ぜひドキュサインの契約ライフサイクルマネジメントを検討してみてください。

本ブログは、2020年1月15日にリリースした以下のドキュサイン米国本社のブログ記事の抄訳です。

The rise of the enterprise-wide CLM solution | DocuSign Blog

筆者
吉井 飛鳥
シニア・デジタル・マーケティング・マネージャー
公開
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