5G(第5世代移動通信システム)で変わる働き方①

ビジネスパーソンを通勤・移動の負担から解放する?

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2020年3月より都市部を中心とした一部のエリアでサービスが開始された、新たな移動通信システムである「5G(第5世代移動通信システム)」。しかし、5Gとは具体的に何を意味しているのか、何をどのように変えてくれるのか、よく分かっていないという方も多いのではないでしょうか。

今回は5Gの概要とともに、ビジネスパーソンにとって特に気になる「働き方」への影響を解説します。

5Gはこれまでと何が違う?特徴と通信規格の歴史

5Gとは「5th Generation」の略称で、日本語では「第5世代移動通信システム」という意味になります。「第5」と呼ぶからには、それ以前に第1から第4世代までがあり、その歴史を理解しておくと5Gの特徴をよく理解できます。

第1世代にあたるシステムは、日本では1979年に日本電信電話公社(現NTT)が自動車電話サービスを開始したことで運用が始まりました。アナログ型の通信方式を採用しており、音声を信号化してラジオと同じようなアナログ回線に電波として乗せていました。その後1980年代には、個人向けの携帯電話サービスも開始しています。

2Gが生まれたのは1990年代初頭です。通信はデジタル化され、音声以外の情報を載せることが可能になりました。この結果、メールやインターネット接続が普及し、1990年代後半には携帯電話でネットワークサービスを利用することが当たり前のようになっていきました。

2000年代に入ると3Gがスタートします。それまで国ごとに異なっていた通信規格がグローバルに統一され、データの通信容量や速度が大きく改善されました。音楽やカメラ機能が携帯電話に取り入れられるとともに、段階的にさらなる通信容量の拡張が図られていきました。写メ(写メール)という言葉が使われ始めたのもこの頃です。

2015年頃から、現在の4Gがスタートしています。柔軟性の高い電波利用や光ファイバー並みの高速通信が特徴であり、スマートフォンを通じて動画のような大きなデータ量をストレスなく利用できるようになりました。

次世代である5Gの特徴は、総務省によると「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3点にあるとされています。従来のPC・スマートフォン・タブレットのみならず、自動車や産業機器、ホームセキュリティー分野など、さまざまな産業をその対象領域としてパートナーシップビジネスが繰り広げられると考えられます。

つまり、5Gと4Gまでの違いは、単なる速度やデータ処理量の改善といった量的な進化のみならず、社会全体に影響を及ぼしうるという意味で質的な進化を遂げているのがポイントなのです。

参考:総務省「移動通信分野の最近の動向」

5Gが変える働き方①  テレワークの活性化

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ワークスタイルの変革が叫ばれ、日本のみならず先進国ではテレワークやリモートワークと呼ばれる働き方への注目が集まっています。オフィス以外でも柔軟に仕事ができることが、生産性の向上につながるためです。

ただ、テレワークでもオフィスにいるのと同じ(あるいはそれ以上の)生産性を求めるのであれば、ネットワークの充実は欠かせません。ネットワークが貧弱ですと、作成した資料の共有もままならず、上司や同僚とコミュニケーションを取ることも容易ではありません。テレワークでは「オフィスで顔を合わせて協力しながら仕事を進める」という従来の働き方はできませんので、スムーズに資料・会話(音声)・メッセージのやり取りを円滑にするために5Gが必要になってくるでしょう。

超高速・超低遅延・多数同時接続の5Gを使えば、動画、画像、メッセージをスムーズにやり取りできます。チャットや資料共有はもちろん、例えばクライアントとの交渉を撮影して上司に見てもらい、その場でフィードバックをもらうという仕事の進め方も可能となります。

日本では、2019年の働き方改革関連法案施行に伴ってテレワークの導入が徐々に進んできています。5Gの普及は、働き方改革をさらに推し進める原動力となるかもしれません。

参考:Work Japan「5Gによって働き方が変わる理由」

5Gが変える働き方② 高性能なWeb会議の実現

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テレワークに関連して、Web会議についても注目が集まっています。当然現在の4GでもWeb会議は行われていますが、しばしば「音声が聞こえない」「映像が見えない」「フリーズする」などといった問題に見舞われます。

こうした問題が頻発するようでは、テレワークでの生産性は上がりませんし、同僚や上司とのコミュニケーションも制約を受けることでしょう。5Gによって通信回線が充実すれば、音声の遅延や画像の乱れなどによるストレスのない形でWeb会議を実施できると考えられます。

こうなると、会議室にいなくても会議に参加できるのは当然ながら、さらにはPCを立ち上げる必要もなくなります。スマートフォン経由でも会議に参加でき、どこからでも会議に参加することができるようになります。

外出の多い働き方をしている場合、自宅⇔オフィス⇔外出先(複数)の移動だけで毎日何時間も費やしてしまいます。これを大幅に削減できるのだとしたら、格段に生産性が向上することは間違いないでしょう。

参考:LoopGate「5Gが始まるとどうなるのか」

5Gが変える働き方③ 電子署名・電子契約への本格シフト

5Gは、ビジネスにおける「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進すると考えられます。顧客管理システムや会計システムをはじめ、既にビジネスの現場ではさまざまなシステムが導入されるようになっています。5Gで通信のデータ処理量と速度が大幅に向上されれば、これらのシステムの使い勝手がよくなりますし、より普及が進むと考えられます。

ビジネスでの導入が進んでいくと考えられるシステムの一つに契約ライフサイクルマネジメント(CLM)があります。DocuSign CLMでは、契約書の「準備」「署名」「実行」「管理」までをシームレスに行うことができます。また、DocuSign eSignature(ドキュサインの電子署名を使えば、契約書や稟議書など関係者の同意を必要とする文書に対して電子的に署名・捺印することができ、双方の合意内容の記録を安全に保管することができます。

こうしたサービスはクラウドで提供されるため、セキュリティが極めて重要です。ドキュサインのクラウドは堅牢なデータセンターで運用されています。世界のどこからでもアクセスできますし、突然のアップデートによってサービスが止まることはありません。ビジネスの安全性・継続性は十分に担保されており、紙の書類よりも安心して利用することができます。

電子署名の導入により、ビジネスの生産性は大きく向上します。紙代や保管費用、印紙税といったコスト削減、紙の印刷・配布などの作業が省略されるためです。5Gが可能とする、効率的なテレワークの場には、電子署名や電子契約が欠かせなくなるでしょう。

まとめ

5Gの普及によって、オフィス以外の場所でも効率的に働けるようになります。このように、5Gは単なる通信性能の向上を意味することにとどまらず、通信を利用する全てのビジネスに影響を与える可能性を秘めています。今回ご紹介した「働き方」は、あくまでのその可能性の一つに過ぎません。

建設・土木や医療など、さまざまな業界に対する影響度合いとその内容については、「5G(第5世代移動通信システム)で変わる働き方② 注目の遠隔ビジネスとは?」でご紹介します。

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筆者
安達 智洋
シニア・コンテンツ・マーケティング・マネージャー
公開
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