テレワーク最前線シリーズ2:助成金・補助金の活用ですぐに始めるテレワーク

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はじめに:助成金・補助金の詳しい内容や申請書式、申請時の注意事項等は必ず所轄官庁・自治体の担当窓口またはそれぞれのウェブサイト(本ブログ記事内にリンクを記載しています)でご確認ください。また、この記事の内容は情報提供のみを目的としており、2020年5月26日時点の情報をもとにしています。

皆さん、助成金と補助金の共通点と違いはご存知ですか?共通点は、どちらも国や公共団体が事業者に対して支給する返済不要のお金であることです。違いは、助成金は一定の条件を満たすだけで支給されますが、補助金の場合は審査の上で採択されるので、必ずしも支給されるとは限らないことです。ただしこれは国の場合で、自治体の助成事業による助成金の場合には審査がある場合もあります。

では、国や自治体はテレワーク導入推進のためにどのような助成金や補助金を用意しているのでしょうか。それらは、皆さんの会社でも申請可能なのでしょうか。また、高い確率で支給されるためにはどうしたらいいのでしょうか。

どんな助成金・補助金が利用可能?

下表に、現在(2020年5月26日時点)申請できる助成金・補助金をまとめています。他にもありますが、こちらは代表的なものになります。

助成金一覧

次にそれぞれの内容をもう少し詳しく説明していきます。

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)とは、「時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善及び仕事と生活の調和の推進のため、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成する(参考:働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」ものです。

支給対象となる事業主は、労災保険の適用事業主であり、テレワークを新規または試行的に導入している事業主になります。資本金や雇用労働者数の上限は業種によって異なりますので、「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」のページを参照してください。

この助成金の特徴として、成果目標の設定があります。具体的には、

  1. 評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる
  2. 評価期間において、対象労働者が在宅又はサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した回数の週間平均を1回以上とする

の2つとなります。

支給額は目標達成状況によって異なるのですが、助成金なので、申請条件を満たせば成果目標が未達でも受給できるという特徴もあります。

IT導入補助金

IT導入補助金は「IT導入補助金」のウェブサイトによると、「中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするもの」と定義されています。

この補助金は、IT導入補助金事務局(以下、事務局)に登録申請して認められた企業からITツールを導入した中小・小規模事業者が、事務局に補助金の交付を申請し、採択されれば補助金が支払われるというものです。補助対象者については、同サイトに細かい規定が載っていますのでご参照ください。

この補助金には、AとBの2つの類型があり、補助額は類型によって異なります。

分類表

表の大分類1にある6つの「業務プロセス」のうち、A類型は1つ以上を、B類型は4つ以上担うソフトウェアを導入すれば、「オプション」や「付帯サービス」に関する諸経費も補助対象になります。

また、この他にC類型というタイプもありますが、これは一時的な特別枠です。

補助率はA、Bどちらの類型でも1/2以下で、下限額と上限額は、A類型が30万円以上150万円未満、B類型が150万円以上450万円以下となります。

なお、2021年度の情報につきましては、『ドキュサインはIT導入補助金2021の支援事業者に採択されました』をご覧ください。

ICTツール導入助成金

東京都中小企業振興公社が交付するICTツール導入助成金とは、「都内中小企業者等が、自社の生産活動やサービス提供の場面において生産性を向上させるための先進的な取組を行う際に必要となるICTツール等の導入にかかる費用を助成することにより、中小企業の生産性向上を促進し、東京の産業の更なる成長を支援することを目的(参考:令和2年度 生産性向上のためのICTツール導入上背事業 募集要項)」とするものです。

助成対象事業者についてはかなり細かい規定がありますので、自社が該当するかどうかを確認したい場合には、必ず「募集要項」を参照してください

この助成金をテレワーク導入の推進に利用するためには、機器等の設置が都内の自社の事業所内に限る、という制限があります(一部例外あり)。つまり在宅勤務者の家庭内に設置する機器は対象外ということです。

また国の助成金ではないので審査もありますがその分助成額は大きく、下限30万円、上限は300万円となります。また助成率は中小企業で1/2、小規模企業者は2/3です。

助成金・補助金を受け取るためのヒント

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申請書類を書くにあたっての注意点は、当然のことながら、所定の書式に誤字・脱字やミスなく記入することです。審査がある場合には何らかの文章を記入する必要が出てきますが、その際には分かりやすさを最重視しましょう。審査担当者は必ずしも特定の業界に精通しているわけではありませんので、専門用語等を多用するとそれだけで審査を通りにくくなる可能性も考えられます。どうしても専門用語・業界用語を多用する必要があるのであれば、用語集を添付することも一つの方法です。また、その他に添付できる資料があるのならば積極的に添付しましょう。

事業計画や取組計画の提出が必要な場合は、時期、金額、取引先、商品・サービス名等は全て具体的に記入しましょう。助成金や補助金の財源は税金であり、審査側は説明責任を果たす必要があります。

また、審査に落ちても再度申請し直すこともできます。事業によっては、落選理由を教えてくれる場合もあるので、一度問い合わせをしてみることをお勧めします。申請経験が無い事業者は、地方公共団体の窓口や補助金・助成金申請を得意としているコンサルタント、行政書士などに相談してみてもよいでしょう。

なお、審査が必要な補助金や助成金の場合、先に他の制度に認定されていると採択されやすくなるケースがあります。例えば「経営力向上計画」という中小企業等経営計画強化法に基づく認定制度があります。計画が認定されると、経産省や中小企業庁が公募する補助金申請で採択される確率が高くなりますので、「IT導入補助金」の申請を考えている事業者は、「経営力向上計画」の申請を先に検討しても良いかもしれません。

まとめ

国や自治体が「働き方改革」を率先して推進しており、関連する助成金や補助金の公募が次々とおこなわれています。ですがテレワークを導入しても、うまく運用できるのか不安に思う事業者もおられるのではないでしょうか。特にITの専任担当者がいない中小企業では、その不安は大きいと思います。

第3回では、総務省が実施している「テレワークマネージャー相談事業」をご紹介します。

 

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テレワーク最前線シリーズでは、テレワークの基礎知識から助成金や補助金、アドバイス事業などを活用して賢くテレワークを始める方法、またテレワークを成功させるために気をつけたいポイントなどをご紹介しています。

  1. きちんと理解できていますか? – テレワークの基礎知識
  2. 助成金・補助金の活用ですぐに始めるテレワーク
  3. IT担当者がいなくても始められるテレワーク
  4. 「テレワークあるある」から考える「真の働き方改革」とは?
  5. テレワーク時代の先を考える - 注目のワーケーション
筆者
安達 智洋
シニア・コンテンツ・マーケティング・マネージャー
公開
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