署名活動の意味とは?その効果を事例とともに紹介

ビジネス街を歩くスーツを着た人々

身の回りの生活や国の制度などの改善を目指し、問題提起を行う署名活動(署名運動)。最近では、従来の手書き署名のほかに、オンラインで署名を募るサービスも登場しています。そもそも署名を行うことにはどのような意味があり、署名活動にどのような効果があるのでしょうか。今回は署名活動を行う意味と、過去の事例を通してその効果について考えていきます。

署名活動にはどのような効果があるのか

署名活動とはあるテーマや議題に関する意見に賛同する人々の同意を集め、国や自治体、企業等に提出する活動のことです。署名活動を行う一番の目的はある議題に対して問題提起をすること、そして最終的にその問題を解決・改善に導くことです。

国や自治体に多くの署名を提出すれば、その声を議員や政治家の方たちに届けることができます。場合によっては、国会や議会で取り上げられ、問題解決へと進むこともあります。ただし、これは必ずしも法的拘束力を伴うわけではありません。そのため、議員や政治家が署名を受け取ったとしても、そのテーマを取り上げるとは限りません。一方で、民主主義国家の場合、議員や政治家は国民、市民により選出されるため、民意を反映した署名は法的拘束力がなくても一定の効果があるという意見もあります。

例えば、2015年10月22日~11月末にかけて行われたひとり親家庭の貧困世帯の救済を目的とした署名活動が行われましたが、この活動をきっかけに意見が議会に取り上げられ、実際に国の制度が改善されました。

当時、日本のひとり親家庭の貧困率は先進国の中でワースト1位で、頼みの綱は児童扶養手当のみという状況でした。しかし、児童扶養手当の給付額は第1子に対しては最大月4万円2000円であったのに対し、2人目は月5000円、第3子以降は月3000円という内容になっていました。そこで、2人目以降の手当を月額1万円にまで引き上げることを目指した署名活動が行われ、その結果、36年ぶりに児童扶養手当増額を実現しました。

法的拘束力を持つ地方自治体の直接請求

署名活動の中には法的拘束力を持つものも存在します。代表的なものが、地方自治体に対して行う「直接請求」です。直接請求とは、地方自治体に対して議会の解散や議員の解職などを求めることです。直接請求を行うのは、その自治体に住む有権者です。

直接請求を行う条件は、署名の数が一定数を超えることです。請求を受けた自治体は、住民投票や議決をとるなど、請求内容に応じたアクションを起こすことが求められます。ただし、どんな要求でも通るわけではありません。直接請求を行えるのは、「条例の制定と改廃」「監査」「議会の解散」「議員・首長の解職」「主要公務員の解職」の5つの要求のみです。なお、この5つの要求には、それぞれに必要な署名数が設定されています。例えば、条例の制定や改廃であれば、全有権者の50分の1の数の署名を集める必要があります。

署名簿の様式は各自治体ごとに定められています。静岡県を例に署名簿の様式を見ていきましょう。

同自治体の規定では、「表紙」「条例制定請求書の写し」「条例制定請求書代表者証明書の写し」「署名収集委任状」「署名用紙」の5つをまとめたものが署名簿の様式となります。これらの書類の中の署名用紙に住民からの署名が記されます。

署名用紙には、署名年月、住所、生年月日、氏名などの項目に加え、押印欄も用意されています。

署名簿は、選挙管理委員会が行う審査で有効性をチェックされます。この審査では、主に署名簿の様式、署名数、個々の署名の有効性といった点を確認します。審査を通過することで、署名は効力を認められ、請求が受理されます。

 

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