DocuSign CLMで複雑な契約管理を効率化 - 導入事例

大きな組織では、長年の間にシステムや戦略が互いに重なり合い、非常に複雑な独自のワークフローが形成されていることも少なくありません。こうしたワークフローを自動化・合理化するためのソリューションの設計は、一筋縄ではいきません。

日本に本社を置く製造業大手A社は、まさにそのような状況でした。契約管理プロセスを改善する必要がある一方、同社独自の要件をすべて満たすソリューションを見つけるのは容易ではありませんでした。

時間がかかりエラーも出やすい契約管理プロセス

同社の法務部門は、毎年何千件もの契約を扱い、20万を超える紙ベースの文書を保管庫に保存していました。これには、秘密保持契約やソフトウェアライセンス、覚書、アウトソーシング契約などを含み、どれもビジネスを円滑に続けるためには必要不可欠なものばかりです。

しかし、既存のプロセスは煩雑で、手作業が多く、時間のかかるものでした。複数のプラットフォームを使って契約の準備と管理を行なっていたため、これによるプロセスの混在がエラーや効率の悪さの原因になっていました。ボトルネックがあることで、一部の契約は日の目を見ることなく終わり、法務部門の評判もかんばしくありませんでした。実際、価値を創出することよりも、目の前の問題を解決したり、重要な文書を探すことに多くの時間を費やしていました。

契約書の検索や共同作業では Gmail のキーワード検索を利用していましたが、その信頼性は必ずしも完全ではありませんでした。さらに、契約書を管理するために Google スプレッドシートを台帳として使用していましたが、この方法は事業に合わせた拡張を妨げる一因にもなっていました。

以前のワークフロー:

複雑な契約管理ワークフロー

当初、同社は契約管理プロセスを改善するためにパッケージソリューションを試していましたが、すぐに、汎用型の定型アプローチではうまくいかないことがわかりました。実際、弊社が CLM(契約ライフサイクルマネジメント)プラットフォームのプレゼンテーションを行い、お客様のニーズをどのような形でサポートできるかを提示した際、その点が重要な差別化要因のひとつになりました。

DocuSign CLM は、それさえ導入すればすべてが解決する万能の提案ではありません。言い換えると、弊社のプラットフォームにユーザー企業の業務を合わせていただくのではなく、それとは逆のアプローチを取っています。まずは企業のニーズが何かを知ることに時間をかけ、そのニーズに合わせてプラットフォームを形成します。

今回のケースでは、お客様はすぐにそのメリットを理解されました。私たちと一緒に問題点やニーズを洗い出す作業が必要だと確信していただいたおかげで、ドキュサイン独自の「お客様のニーズに合わせた実装」が、現在のみならず将来にわたって、同社が掲げる具体的な事業目標に有益だということを提示できました。

あらゆる場面で付加価値を提供するソリューション

今回の案件でドキュサインが手がけた最初のプロジェクトは、「契約書の提出プロセス」、「ファイル/フォルダへのアクセス要求」、「契約書の附則(補遺)」という3つのユースケースを一元管理することでした。弊社に求められたのは、それぞれについて、現在の運用を維持しつつ、可能な限りプロセスをデジタル化・自動化することです。そこには次のような具体的な要件が含まれていました。

  • 新規契約の依頼を法務部門および知財部門に通知するためのリクエストフォーム
  • 契約書への属性の適用により、既存の契約書管理台帳と同じように「検索」と「抽出」ができること
  • 法務部門/知財部門と事業部門の間で電子メールを介したコラボレーションを可能にすると同時に、DocuSign CLM で追跡可能であること
  • 属性が変更された場合(例:契約ステータス、電子署名のリクエストなど)、通知とタスクが実行されること
  • フォルダセキュリティへ変更をリクエストするためのアクションボタン
  • 電子メールや Slack によるコミュニケーションが必要になった際に追加可能なオプション・ワークフロー

弊社のプロフェッショナルサービスおよびソリューションエンジニアチームは、同社の関係者と緊密に連携して、契約管理プロセス全体を効率化するソリューションを設計しました。最終的に、同社が求める要件を実用的なソリューションとして迅速に形にできたことは、このプロジェクトにかかわった全員にとって非常に有意義で満足のいく経験となりました。

新しいワークフロー:

DocuSgin CLMで刷新された最新の契約管理ワークフロー

現在、同社は契約管理を一元化するために、DocuSign CLM の全社展開を進めています。この実装プロセスには、現時点で紙やその他の形式で管理している20万以上の文書を電子化し、安全に保管することが含まれています。ひとたび電子化されると、基本的な契約書の分析をその場で行うことが可能になり、幅広い契約書を迅速かつ容易に作成し、管理できるようになります。

このソリューションには、将来的に他のユースケースも取り込んで、成長させる余地があります。さらに、既存の設定を簡単に拡張して、より多くのエンベロープに対応できるようにすることもできます。今回の事例は、ドキュサインのソリューションエンジニアとプロフェッショナルサービスチームが、いま目の前にある問題を解決するだけでなく、その先の未来にも対応できるプラットフォームを提供する力を持っていることを示す、素晴らしい例であると言えるでしょう。

製品に関する詳細は DocuSign CLM 製品ページをご覧ください。

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※本記事は弊社シニア・ソリューション・エンジニア蛯子晃仁の報告をもとに執筆したブログ記事「A complex contract management use case calls for a unique solution」の抄訳になります。

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