事例にみる、成功する企業のデータ分析・活用のポイント

会議中の日本人の会社員

AI(人工知能)やIoTなどの普及により、大量かつ精緻なデータ分析ができるようになった昨今、企業もデータ活用の可能性に注目するようになりました。実際、社内外のデータをフル活用し、成長を加速させている企業も少なくありません。そこで、本記事では企業におけるデータ活用の効果や事例、データ分析の方法などを紹介し、企業がデータ活用を成功させるためのポイントを考察していきます。

政府調査から紐解く、データ活用の具体的な効果とは?

近年、データは「21世紀の石油」とも言われるように、今後の経営においてデータ活用は欠かすことができない取り組みになりつつあります。特に、5G(第5世代移動通信システム)の登場によりデータ通信速度も飛躍的に増加したことで、データのさらなる活用に期待が集まっています。では具体的に、企業がデータ活用によってどのような効果を見い出しているのでしょうか。

総務省が2020年に発表した「令和2年 情報通信白書」では、企業によるデータ活用の効果について調査しています。その調査によると、データ活用を行っている企業では、経営企画・組織改革、製品・サービス開発、マーケティング、生産・製造、物流・在庫管理など、幅広い領域で効果が出ていることが分かります(※1)。なかでも、データ活用が進んでいるのは経営企画・組織改革の領域で、例えば、経理データを収集・可視化することで、無駄なコストの削減や適切な予算配分などが可能になります。そのほか、データ活用の効果として、回答の割合が高い順に「業務効率の向上」や「意思決定の向上」、「マーケティング力の向上」などが挙げられます。

データ活用の事例

様々な効果を生み出すデータ活用ですが、実際にはどのように実践されているのでしょうか。総務省が2020年3月に発表した「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現場に関する調査研究の請負報告書」では、国内外のデータ活用事例が複数紹介されています(※2)。以下、その一部を紹介しながらデータ活用の実践例や効果について見ていきます。

①BIツールでデータを分析・可視化して売上を拡大

まず始めに紹介するのが、岡山県を中心に小売店舗を展開するM社の事例です。M社は、発注業務にまつわる機会損失に課題を抱えていました。発注業務では、日によって異なる商品の売れ行きや在庫量を考慮し、適切な数の商品を発注しなければなりません。しかし、M社では、これまで発注業務を従業員の経験則などに基づいて行っていたため、欠品などの機会損失を生むことが少なくありませんでした。

そこで、M社は、店舗の売り上げや在庫情報、カード会員情報、電子マネーの利用率などを一元化し、BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールでデータ分析することにしました。BIツールとは、企業が保有するデータを分析・可視化して、経営の意思決定や業務改善に役立てることができるツールです。複数のデータを組み合わせて、集計やレポーティング、グラフ化などができるため、データをもとに自社の全体像を可視化して、把握することができます。

M社は、BIツールを活用して、各店舗のバックヤードでリアルタイムの商品の売れ行きを表示させる、という施策をスタートさせました。これにより、従業員が正確な売れ行きや在庫数を把握したうえで発注業務を行えるようになり、欠品などの機会損失を防止することができるようになりました。さらに、特定の商品の売り上げが2割増加、店舗平均で粗利が7〜8%向上するなど、データ活用が経営全体にも大きな影響を与えています。

②PCログをデータ分析し、働き方改革を推進

データ活用は売り上げや利益率の改善以外にも、幅広い領域に効果をもたらします。例えば、大手メーカーのグループ企業であるP社では、データ活用を働き方改革の推進に役立てています。同社は以前、結婚・出産に伴う離職や、長距離通勤による健康リスクなど、従業員の働き方に関する課題を抱えていました。

そこでP社は、PC操作ログを可視化する業務管理ツールを活用し、従業員の実働時間や各アプリケーションの使用時間、業務内容などのデータを分析する施策を始めました。これにより、上司が部下の業務状況を適切に把握することが可能になり、働き方の改善を促したり、長時間労働を抑制したりといったことが可能となりました。

社内外の幅広いデータを、自社の課題解決に活用する

以上の事例からも分かるように、データ活用における「データ」とは、売上や顧客に関するデータだけとは限りません。業務日誌や販売記録、アクセスログなど、社内に蓄積されたあらゆるデータも、経営を後押しする武器になり得ます。さらに近年では、オープンデータと呼ばれる、Webなどを通じて誰でも利用できるデータも普及しており、データ活用による施策のバリエーションはますます増えつつあります。

例えば、ドキュサインの電子署名には「署名データ分析」機能があり、デバイスの種類、使用ブラウザ、テンプレートなどを切り口とした署名状況の統計データ等を活用して、どこで署名者が手続きを中断し、どのステップに問題があったのかを特定することができます。これにより、署名者の動向をより深く理解し改善することで、優れた署名体験を提供し、合意・契約の締結をより確実なものにします。

ドキュサインの電子署名とは →

社会全体で不確実性が高まる昨今、数多くの課題が企業を取り巻いています。そのなかで、自社の課題解決を図るためには、どのようなデータを、どのような手段で分析し、どのような施策につなげるかといった視点が重要になってくるでしょう。

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参考:

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